FX取引における損切りの目安について知りたいと考えている方は多いのではないでしょうか。適切な損切りは、資金を守りつつ、長期的な成功を目指すために欠かせません。
損失を最小限に抑えるには、明確な損切りの目安を設定し、ルールに従うことが重要です。
今回はそんな損切りの基本的な考え方や、目安の設定方法について詳しく解説します。FX取引でリスク管理を徹底したい方は、ぜひ参考にしてください。
FXにおける損切りとは「損失を受け入れ、最小限に抑えること」
FX取引では、損失を完全に避けることはできません。相場は常に予測通りに動くわけではなく、利益を得る時もあれば、損失を被る時もあります。こうした中で損切りを活用することで、トータルでプラスを目指すために、現状の損失を最小限に抑えられるでしょう。
損切りとは、損失を確定させ、含み損を抱えた現在のポジションを決済することを指します。FX取引における損切りの目的は、損失を最小限に留めてトレーダーの資金を保護し、次の取引チャンスを生かすための余力を確保することです。
損切りのタイミングを見極めるのは難しいですが、「もしかしたら戻るかもしれない」といった感情的な期待は負けトレードを生む要因となりかねません。そのため、損切りはFXトレーダーにとって重要なスキルの一つといえます。
FXで損切りができるとどうなる?
損切りができるトレーダーは、損失を最小限に抑えられるため、資金を守りながらトレードを続けられます。
相場が思うように動かない時でも、冷静に判断し、損切りを実行することで、大きな損失を避けられるでしょう。これにより、次のトレードチャンスに活かせる資金を確保でき、長期的に見てトータルでの利益を上げやすくなります。
損切りを適切に行うことは、リスク管理の基本であり、成功するトレーダーの必須条件です。損切りのタイミングを見極めることで、感情に左右されない戦略的に取引が可能となるため、結果的に資産を守りつつ安定した収益を目指していけるでしょう。
FXで損切りができないとどうなる?
損切りができないと、最終的にロスカットで大きな損失を被る可能性があります。
ロスカットとは、含み損が一定水準を超えるとFX会社が自動的にポジションを決済する仕組みです。これは、損失がさらに拡大しないよう投資家の資産を守るための重要な制度です。
しかし、ロスカットが執行されるということは、既に口座内の資産に対して大きな含み損を抱えている状態といえます。
そのため、ロスカットを避けるためには、損失が膨らむ前に自分で損切りを行うことが重要です。損切りを先延ばしにすると、損失が増大し、最終的にロスカットに至るリスクが高まるため、FX取引では証拠金維持率を常に意識し、適切なタイミングで損切りを実行することが求められます。
FXにおける損切りラインの目安とは?決め方のコツ
FXで損切りラインを見極める目安として、以下のポイントがあります。
- 値幅で決める
- トレンドラインで決める
- 損失額で決める
それぞれのポイントについて解説しますので、損切りのコツを理解しましょう。
値幅で決める
損切りラインを値幅で決める方法では、「買値から◯円下がったら損切りする」といったように、新規注文を行ったレートからの値幅を基準に設定します。これにより、具体的な損失額が予測しやすく、感情に左右されずに取引を進めやすくなります。
また、直近安値やキリの良い心理的な節目の数字(100円・105円・110円など)を基準にすることも有効です。これらの節目は市場参加者の注目が集まりやすく、相場が反転するポイントとして機能することが多いため、損切りラインとして設定しやすいでしょう。
トレンドラインで決める
テクニカル分析におけるトレンドラインを使い、損切り基準を設定する方法もあります。
トレンドラインとは、相場の動きをグラフ上に示し、上昇・下降・横ばいのトレンドを確認するための線です。為替レートがトレンドラインを突破すると、それがトレンドの転換点となり、損失が膨らむリスクが高まると判断できます。したがって、トレンドラインを下回った時点で、損切りを行うことが推奨されます。
初心者の場合は値幅や損失額といった具体的な数値で損切りを設定するのも有効ですが、経験を積んでトレンドラインなどのテクニカル分析を理解できるようになったら、トレンドラインを損切りの基準に設定すると良いでしょう。これにより、市場の動向に沿った損切り水準を設定でき、リスク管理の強化に繋がります。
また、損切り目安としてpips(ピップス)を活用することも重要です。pipsは通貨ペアの価格変動の単位であり、トレードスタイルに応じて適切な損切り目安を設定する際に役立ちます。
損切りの目安として、トレード手法に合わせた以下のpipsを基準にする方法もあります。
- スキャルピング:5pips未満
- デイトレード:50pips未満
- スイングトレード:150pips未満
損失額で決める
損失額を損切り基準とする際には「損失がこの金額に達したら損切りする」といったように、事前に設定した損失額を基準にしてポジションを決済します。
この方法では、トレード開始前に自分が許容できる最大損失額を設定し、そのラインを超えた場合にはすぐにポジションを手放すことが重要です。例えば、30,000円の損失を許容範囲と決めた場合、ポジションがその損失に達した時点で損切りを行います。
損失額で損切りを設定する利点は、明確で感情に左右されにくいことです。市場の動きによって感情的になることなく、あらかじめ決めたルールに基づいて冷静にトレードを続けやすいでしょう。
FXにおける効果的な損切りのやり方とは?
FXにおける主な損切りのやり方として、以下の2種類が挙げられます。
- ストップ注文(逆指値注文)
- OCO注文
それぞれのやり方について解説します。
ストップ注文(逆指値注文)
ストップ注文(逆指値注文)は、FX取引において有効な損切り方法です。この注文方法は、指定した為替レートに達した時点で自動的にポジションを決済する仕組みです。
買いポジションを持っている時の損切り(下がった時の売り注文)
例えば、米ドル/円で1ドルあたり140円の時に新規買い注文をしたとしましょう。130円まで下がったら損切りする、と決めた場合は140円をストップ注文のレベルに設定するだけです。
この設定により、為替レートが140円に達した瞬間に自動で売り注文が発動され、損失を最小限に抑えられます。
売りポジションを持っている時の損切り(上がった時の買い注文)
反対に、1ドルあたり130円の時に新規売り注文をして、140円まで上がったら損切りするとした場合、先ほどと同じように140円をストップ注文のレベルに設定します。
この設定により、為替レートが120円に達した際に自動で買い注文が発動され、損失が限定される仕組みです。
このように、ストップ注文は市場の動きに対応して自動的に損切りを行うことで、トレーダーが感情に左右されずにリスクを管理してくれます。
OCO注文
OCO(One Cancels the Other)注文は、2つの注文を同時に出し、どちらか一方が成立するともう片方の注文が自動的にキャンセルされるといった損切りのやり方です。
仮に1ドルあたり140円の買いポジションを保有している場合、「150円になったら利益確定」「130円になったら損切り」といったように、損切りによるリスク管理をしながら利益を狙えます。
FXで損失を抑えるためのトレードのコツ5選
ここでは、FXで損失を抑えるためのトレードのコツについて、以下の5つのポイントを紹介します。
- 損切りのルールを決めておく
- 損切りルールは定期的に見直す
- ポジションを持ちすぎない
- ハイリスクな取引は避ける
- 利益を増やすよりも損失を抑える
それぞれの項目について解説します。
損切りのルールを決めておく
FX取引において、損切りのルールを明確に決めておくことが重要です。損切りは、トレードにおけるリスク管理の中核をなす要素であり、十分に計画されていない場合、大きな損失を招く可能性があります。
損切りの基準としては、個々のトレーダーのリスク許容度に合わせた金額やpips(価格変動の最小単位)を設定します。例えば、「1トレードあたりの損失は口座の5%以内に抑える」「1トレードあたりの損失は最大50pipsまで」といった具体的な基準を設けることが一般的です。
さらに、トレード戦略や市場の状況に応じて損切りの方法を選定します。価格レベルに基づく「値幅で決める」方法や、テクニカル分析を基にした「トレンドラインで決める」方法、さらには「OCO注文」などの自動化された方法を活用することもあります。これらの方法は、感情に左右されずにトレードを実行し、ポジションを守るために有効です。
損切りルールは定期的に見直す
FX取引において損切りルールを定めるだけでなく、定期的に見直すことも重要です。市場環境や個々のトレードスタイルに合わせて、損切りの基準を適切に調整しましょう。
損切りルールを定期的に見直すべき理由として、以下が挙げられます。
- 市場の変動に対応するため
- リスク許容度に対応するため
- 新たなテクニカル指標や市場分析に対応するため
まず、市場の変動や波乱があるたびに、従来の損切りラインが適切かどうかを再評価する必要があります。特に高ボラティリティの時期や重大な経済イベントの前後では、従来の損切り水準による効果が薄れてしまうかもしれません。
また、トレードスタイルやリスク許容度が変わった場合にも、損切りルールを適宜調整する必要があります。初心者から経験豊富なトレーダーへと成長する過程で、リスクマネジメントのアプローチや目標利益率に対する考え方が変化することは珍しくありません。
さらに、テクニカル指標や市場分析の進展によって、新たな損切り戦略が生まれることもあります。例えば、新しいテクニカルパターンの発見や、他のトレーダーの成功事例から得た知見を取り入れることで、より効果的な損切り戦略を構築できるでしょう。
ポジションを持ちすぎない
FX取引においてポジションを適切に管理することは、リスク管理の基本です。ポジションを持ちすぎると、市場の変動に対するリスクが増大し、損失が拡大する可能性があります。
そのため、以下のポイントを考慮してポジション管理を行うことが重要です。
- 口座残高に対するポジションの割合
- 市場状況やトレード戦略に応じたポジションの調整
まず、口座残高に対するポジションの割合を考慮しましょう。口座全体の資金でどれだけのポジションを持つかを計算し、リスクを分散するために最適なポジションサイズを決定します。通常、1つのトレードで口座残高の1〜2%を超えるリスクを取ることは避けたほうが安全です。
次に、市場の状況やトレード戦略に応じてポジションを調整します。特に、高ボラティリティな市場では、ポジションを減らしてリスクをコントロールすることが重要です。逆に市場が安定している場合は、ポジションを増やせば利益を最大化する戦略も考慮できますが、常にリスク管理を念頭に置いた戦略を取ることが大切です。
ハイリスクな取引は避ける
FX取引において、ハイリスクな取引を避けることも損失を減らすコツの一つです。
高いレバレッジを使用した取引や、市場の急激な変動が予測できない場面での取引は、大きな損失を招く可能性があります。そのため、自身のリスク許容度を超えた取引は避けるべきです。
次に、リスク管理を徹底することが必要です。ポジションごとに適切な損失限度額を設定し、予想外の市場動向に対応できるように準備しましょう。また、トレードの目的や戦略に応じて、リスクを最小化するためのツールや手法を活用することも有効です。
利益を増やすよりも損失を抑える
FX取引において、利益を増やすことは重要ですが、さらに重要なのは損失を抑えることです。損失を抑えることで、不必要な資金の消失を防ぎ、長期的にトレードを続けやすくなります。
ポジションサイズを資金の一定割合に制限することで、一度の大きな損失が資金全体に与える影響を最小限に抑えやすくなります。
さらに、テクニカル分析やファンダメンタル分析を通じて市場の動向を予測し、計画的な取引を行うことで、損失を防ぎやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、FXにおける損切りの目安とやり方、損失を抑えるためのトレードのコツについて解説しました。
FX取引で損切りができるようになると、ロスカットされるリスクを減らし、長期的にトレードを続けやすくなります。また、損切りは損失を最小限に抑え、長期的な利益を上げていくために有効な手法です。
記事で紹介した損切りのポイントを参考にしながら、損切りルールを設定してみてはいかがでしょうか。