「FXで逆指値注文の使い方が分からない」「逆指値注文がうまく機能しない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
FX取引を効率的に行うためには、逆指値注文の特性を理解し、適切に活用することが欠かせません。
今回は、逆指値注文の基本的な使い方や、効果的な設定方法について詳しく解説します。
「逆指値注文を効果的に活用できるようになりたい」「取引におけるリスク管理を徹底したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
指値注文と逆指値注文について理解しよう
まずは、FXにおける基礎知識として「指値注文」と「逆指値注文」の違いを理解しておきましょう。
以下より、それぞれの注文方法について解説します。
指値注文
指値注文とは、取引を行う際に自分が希望する価格で売買を設定する注文方法です。具体的には、指定した価格に達したときに自動的に売買が成立するように注文を出します。この注文方法は、価格が自分の希望するレベルに達するのを待ちたい場合に有効です。
たとえば、ドル/円を1ドルあたり130円で注文したいと考えている場合、現在の市場価格が150円であっても、130円に価格が下がったときに自動的に注文できるように指値注文を設定します。逆に、保有しているドル/円を130円で売却したい場合は、その価格に達したときに売却するよう指値注文を出します。
指値注文の最大の利点は、取引が自分の希望する価格で確実に行えることです。しかし、市場価格が指定した価格に達しない場合には、取引が成立しないリスクもあります。
したがって、指値注文は特定の価格で取引をしたい場合に便利ですが、常に市場の動きを確認し、注文を適切に設定することが欠かせません。
逆指値注文
逆指値注文とは、現在の市場価格とは逆の方向で取引を行うための注文方法です。つまり、価格が指定した水準に達したときに自動的に売買を成立させる注文方法です。主に損失を限定するためのストップロス注文や、利益を確保するためのトレーリングストップ注文として利用されます。
例えば、現在のドル/円の価格が1ドルあたり140円で、もし価格が150円に達したときに自動的に売却したい場合、逆指値注文を150円に設定します。また、保有しているドル/円が現在の価格が1ドルあたり140円で、130円以下に下がったときに損切りしたい場合、130円に逆指値注文を設定します。
逆指値注文の利点は、事前に設定しておくことで感情的な判断を避け、取引の自動化ができる点です。また、思いがけない市場の動きにも対応できるため、リスク管理に役立ちます。しかし、逆指値注文も市場の急激な変動によって予想外の価格で取引が成立する可能性があるため、指値注文と同様、適切な価格設定が欠かせません。
FXにおける逆指値注文のメリット
FXにおける指値注文のメリットとして、以下があります。
- 損切りが自動的に行われる
- 常にチャートに張り付いている必要がない
それぞれについて解説します。
損切りが自動的に行われる
逆指値注文の大きなメリットの一つは、損切りが自動的に行われることです。FX取引において、損失を最小限に抑えるためには、適切なタイミングでポジションを手仕舞うことが求められます。
しかし、市場の急激な変動や感情的な判断によって、損失が膨らむことは珍しくありません。そこで役立つのが、逆指値注文です。
逆指値注文を利用すると、あらかじめ設定した価格に達した際に、自動的に売却や決済が行われます。たとえば、現在の価格が120円の通貨ペアを持っている場合、110円に逆指値注文を設定しておけば、価格が110円に下がった時点で自動的に売却されます。これにより、大きな損失を未然に防ぐことができます。
逆指値注文によって、感情に左右されずに計画的な取引が可能となり、取引中のストレスを軽減できるでしょう。また、24時間取引が行われるFX市場では、寝ている間や仕事中にも価格が急変する可能性があるため、逆指値注文を設定することで、常にリスク管理を行えます。
常にチャートに張り付いている必要がない
逆指値注文のもう一つの大きなメリットは、常にチャートに張り付いている必要がないことです。FX取引は24時間開かれており、特に為替市場の急激な動きに対応するためには、頻繁にチャートを確認する必要があります。
しかし、日常生活や仕事の合間にリアルタイムで市場を監視することは難しい場合が多いでしょう。
逆指値注文を設定することで、市場が指定した価格に達したときに自動的に取引が行われるため、常に取引画面を見続ける必要がありません。たとえば、現在の価格が150円の通貨ペアで、140円に逆指値注文を設定しておけば、価格が140円に下がった瞬間に自動的にポジションが決済されます。これにより、日常の生活や仕事に支障をきたすことなく、リスク管理を行うことができます。
また、夜間や休日に急激な価格変動が起こる可能性もあるため、逆指値注文を利用することで、これらの時間帯でも安心して取引できるでしょう。このように、逆指値注文は自分のライフスタイルに合わせたトレードが可能となり、効率的に取引を進める上で役立ちます。
FXにおける逆指値注文のデメリット
反対に、FXにおける逆指値注文には以下のデメリットもあります。
- ボラティリティの多い相場には不向きである
- 取引が成立しない場合がある
それぞれについて解説します。
ボラティリティの多い相場には不向きである
逆指値注文のデメリットの一つは、ボラティリティが高い相場には不向きであることです。「ボラティリティが高い」とは、市場価格の変動が激しい状態を指し、為替レートが短期間で大きく動くことが特徴です。このような市場環境では、逆指値注文が思わぬ形で影響を受ける可能性があります。
例えば、価格が急激に変動する場合、逆指値注文が設定価格に達したときに瞬時に約定することがあります。このとき、スプレッドが広がると、実際の取引価格が予想よりも不利な価格で成立する可能性があります。これにより、想定していたよりも大きな損失が確定してしまうリスクが高まります。
また、ボラティリティが高い相場では、価格が急激に変動するため、設定した逆指値価格があっという間に超過してしまうことも少なくありません。その結果、設定した逆指値価格での取引が成立せず、さらなる損失を招く可能性もあるため、特に注意が必要です。
取引が成立しない場合がある
逆指値注文のデメリットの一つは、取引が成立しない場合があることです。逆指値注文は、設定した価格に達したときにのみ取引が成立します。つまり、指定した価格に市場価格が到達しない限り、注文は実行されません。このため、設定した逆指値価格に価格が到達しない場合、取引は行われず、結果的に意図したタイミングで売買できなくなります。
特に、相場が予想通りに動かない場合や、急激な価格変動がある場合には、逆指値注文が成立しないリスクが高まります。例えば、特定の価格で早急にポジションを決済したい場合には、逆指値注文ではなく成行注文のほうが有効です。成行注文は、現在の市場価格で即時に取引が成立するため、迅速な決済が可能です。
また、新規に逆指値注文を設定しても、市場が期待通りに動かないと、注文が成立せずに残ったままとなります。これにより、当初の計画とは異なる相場環境で注文が約定する可能性があり、その結果として不利な条件で取引が成立するリスクが高まります。
そのため、逆指値注文を利用する際には、注文が成立しなかった場合に備えて注文を適宜キャンセルし、新たに設定し直すことが重要です。
FXにおける逆指値注文の活用方法を解説
FXで逆指値注文を活用する方法として、主に以下の2つが挙げられます。
- トレンドに乗っかる
- 含み益を確保する・損失を限定する
それぞれについて解説します。
トレンドに乗っかる
逆指値注文は、トレンドに乗るための有効な手段です。市場には、価格が一定の方向に連続して動く「トレンド」が存在します。例えば、ドル/円のレートが110円から上昇を続けて120円に達した場合、この上昇は「上昇トレンド」と呼ばれます。逆に、120円から下落を始めて110円に戻る場合は「下降トレンド」となります。
逆指値注文を使うことで、トレンドの初期段階でポジションを持つチャンスをつかむことができます。例えば、ドル/円が110円から上昇トレンドに入った場合、115円に逆指値注文を設定しておくと、価格が115円に達した瞬間に自動的に買い注文が約定します。これにより、上昇トレンドが本格化する前にポジションを持ち、トレンドに乗ることが可能です。
同様に、下降トレンドを狙う場合には、例えばドル/円が130円から下降を始める予兆がある場合、125円に逆指値注文を設定することで、価格が125円に達した際に自動的に売り注文が約定します。これにより、下降トレンドに乗り遅れることなく、利益を上げるチャンスを掴みやすいでしょう。
含み益を確保する・損失を限定する
逆指値注文は、新規注文だけでなく、既にポジションを持っている場合にも非常に有効です。ポジションを持っている際に逆指値注文を活用することで、含み益を確保しつつ損失を限定できます。
例えば、ドル/円の買いポジションを持っており、現在の価格が110円から115円に上昇して含み益が出ているとしましょう。この状態で、利益を確定するか、さらなる利益を狙ってもう少しポジションを持ち続けるかの判断を迫られることがあります。ここで、もし価格が急激に下落することになれば、せっかくの含み益が消失してしまうリスクがあります。
このようなリスクを回避するために、逆指値注文を設定するのが効果的です。たとえば、115円の価格で含み益を確保したい場合、110円に逆指値注文を設定することで、価格が110円まで下落したときに自動的にポジションが決済され、含み益を維持できます。
一方で、もしポジションを持ち続けている間に価格が急落し、110円を下回ってしまった場合でも、設定した逆指値価格で決済されるため大きな損失を防げるでしょう。
そのほかに知っておくべきFXの注文方法
今回紹介した指値注文、逆指値注文のほか、FXには以下のような注文方法があります。
- 成行注文
- OCO注文
- IFD注文
- IFDO注文
- トレール注文
それぞれについて、簡単に確認しましょう。
成行注文
成行注文は、現在の市場価格で即座に取引を成立させる注文方法です。価格を指定せず、最良の提示価格で約定します。
スピーディな取引が可能ですが、市場価格の変動により、予期しない価格で約定することもあるため注意が必要です。
OCO注文
OCO(One Cancels Other)注文は、二つの異なる注文を同時に出す方法です。一方の注文が約定すると、もう一方の注文は自動的にキャンセルされます。
主に利益確定と損切りを同時に設定する際に使われます。
IFD注文
IFD(If Done)注文は、最初の注文が約定した場合にのみ、次の注文が発動する注文方法です。たとえば、買い注文が成立した後に、さらに逆指値注文が自動的に発動します。
この方法は、トレードの流れを管理する際に便利です。
IFDO注文
IFDO(If Done OCO)注文は、最初の注文が成立した際に、次にOCO注文が発動する方法です。
最初の注文が約定すると、利益確定と損切りの二つの注文が設定され、片方が約定するともう片方は自動的にキャンセルされます。
トレール注文
トレール注文は、価格が有利に動いた際に自動的にストップ価格を追随させる注文です。
例えば、買いポジションを持ち、価格が上昇した場合に、ストップ価格も一定の割合または金額で上昇させることで、利益を守りながら更なる利益を狙います。
まとめ
今回は、FXにおける逆指値注文について解説しました。逆指値注文を活用することで損切りを自動的に行えるため、損失が拡大するリスクを抑えられます。
また、トレンドフォローを行う際にも逆指値注文は有効なため、適切なタイミングで注文を設定しておくことで、感情に左右されず安定したトレードを実現できるでしょう。
今回の内容を参考に、自身のトレードスタイルや相場状況に合った注文方法を見極め、FXの利益を増やしていけるように取り組んでいきましょう。