「FXで安定した利益を得たいけれど、どの手法が良いのか分からない」「リスクを抑えた取引方法を探している」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
安定した利益を得る一つの方法として、リスクを分散させるサヤ取り(アービトラージ)という手法があります。
今回は、FXのサヤ取りの基本や、その具体的な手法について詳しく解説します。「リスクを最小限に抑えて利益を上げたい」「安定した取引方法を見つけたい」という方は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。
FXのサヤ取りとは?
FX取引はレバレッジの存在によりハイリスク・ハイリターンの投資とされていますが、その中でも比較的リスクを抑えた現実的な投資方法が「サヤ取り(アービトラージ)」です。
サヤ取りとは、相関性の高い二つの金融商品を同時に一方で買い、一方で売る投資手法を指します。例えば、株式市場では「日経平均とTOPIX」、FX市場では「豪ドル円とNZドル円」などの組み合わせがよく知られています。
この方法のメリットは、相場が一方向に動いた場合でも、両方の利益と損失が相殺されるため、リスクが抑えられる点です。
サヤ取りによる具体的な利益の上げ方として、「為替差益を狙う方法」と「スワップポイントを活用する方法」の2つがあります。それぞれの方法について、詳しく説明していきます。
サヤ取りの方法その1:為替差益で稼ぐ
為替差益を狙うサヤ取りでは、相関性の高い二つの通貨ペアを選び、その価格差(サヤ)を利用して利益を得ます。
例えば、普段よりもサヤが小さくなっているときに、割安な通貨ペアを「買い」、割高な通貨ペアを「売り」ポジションで保有します。その後、価格差が広がったタイミングで決済することで、為替差益を得られる仕組みです。
逆に、サヤが本来よりも大きくなっている場合には、逆のポジションを取り、サヤが縮小するタイミングで決済することで利益を出すこともできます。
この方法の大きなメリットは、相場が一方向に動いた場合でも、両建てでポジションを保有することで損益を相殺し、大きな損失が出るのを防げることです。
サヤ取りの方法その2:スワップポイントで稼ぐ
スワップポイントを活用したサヤ取りは、各国の通貨間の金利差から生じるスワップポイントを利用する方法です。具体的には、スワップポイントが高いFX会社で「買い」ポジションを取り、スワップポイントが低いFX会社で「売り」ポジションを取ることで、その差額を利益とします。
この方法では、単純な為替の価格差ではなく、FX会社ごとのスワップポイントの違いを利用してコツコツと利益を積み上げることができます。
スワップポイントの利回りは、レバレッジの設定によって大きく変わります。最初は低レバレッジで運用し、年間で0.3%~5.0%程度の利回りを目指すのが良いでしょう。
また、スワップポイントの高い通貨ペアを選ぶと利回りが向上しますが、高金利通貨は価格変動が大きくなる傾向があるため、適切なリスク管理が重要です。
FXにおけるサヤ取りのメリット
FXにおけるサヤ取りのメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 着実に利益を増やしやすい
- 為替変動のリスクを抑えられる
- 長時間相場を見る必要がなくなる
それぞれについて解説します。
着実に利益を増やしやすい
スワップポイントを利用したサヤ取りの最大のメリットは、コツコツと着実に利益を積み上げやすい点です。
スワップポイントは、一日あたり数十円程度の利益が一般的で、短期的には地味に感じるかもしれません。しかし、日々の小さな利益を積み重ねることで、長期的にはまとまった利益を得ることが可能です。
この手法は、大きな利益を狙うよりも堅実に収益を積み上げたい投資家にとって理想的です。価格変動によるリスクを最小限に抑えつつ、安定した収益を狙うことができるため、リスク管理を重視する投資家に適した方法といえます。
為替変動のリスクを抑えられる
スワップポイントを利用したサヤ取りの大きな利点は、為替変動リスクを抑えられる点にあります。
この方法では、同じ通貨ペアを同時に買いポジションと売りポジションで保有します。そのため、為替レートの変動によって一方が損失を出しても、もう一方が同等の利益を出すため、全体のリスクを最小限に抑えられます。
このように、スワップポイントでのサヤ取りは、為替変動の影響を抑えながら安定した収益を狙える手法として、多くの投資家に支持されています。
ただし、ポジションを決済する際には多少のタイムラグが発生するため、完全にリスクをゼロにすることはできない点に注意が必要です。
長時間相場を見る必要がなくなる
スワップポイントを利用したサヤ取りは、価格変動の影響をほとんど受けないため、為替相場を長時間チェックする必要がありません。これにより、日々のトレードに費やす時間を大幅に減らせるといったメリットがあります。
仕事や他の活動で忙しく、毎日長時間相場を見続けるのが難しい方にとって、この方法は魅力的です。スワップポイントでのサヤ取りは、価格変動のリスクを抑えつつ、効率よく時間を使って資産を増やしたい投資家に最適な手法といえます。
これにより、安定した収益を狙いながらも、時間の自由度を確保できるでしょう。
FXにおけるサヤ取りのデメリット
FXにおけるサヤ取りのデメリットとして、以下の3つがあります。
- 適切な銘柄選びとレバレッジの調整が必要
- ある程度まとまった資金が必要
- スワップポイントによるサヤ取りは利益を増やしにくい
それぞれについて解説します。
適切な銘柄選びとレバレッジの調整が必要
スワップポイントを利用したサヤ取りでは、適切な通貨ペアの選定とレバレッジの調整が重要です。毎日の金利差でコツコツ利益を積み上げるためには、選ぶ通貨ペアのスワップポイントの差が大きいことが欠かせません。
しかし、スワップポイントが大きい通貨ペアで高いレバレッジをかけると、為替変動によるリスクが増大し、ロスカットのリスクも高まります。
ロスカットに遭うと、一度に大きな損失を被る可能性があるため、そのリスクをどう管理するかが鍵となります。リターンを最大化しつつリスクを最小限に抑えるためには、通貨ペアの選定とレバレッジのバランスを慎重に考えることが大切です。
このように、サヤ取りを行う際はリスク許容度を見極め、計画的に運用することが求められます。
ある程度まとまった資金が必要
スワップポイントを利用したサヤ取りでは、わずかな金利差を狙うため、安定して運用するにはある程度の資金が必要です。ロスカットされないよう、複数のFX業者に適切な資金を分散して置いておきましょう。これにより、価格変動に対する耐性を高め、リスクを最小限にできます。
一方で、1通貨や1,000通貨などの小額から取引できる業者を利用すれば、ロスカットラインを下げられ、必要な資金を抑えられます。
少額から取引を始めたい方は、小額取引対応のFX業者を利用するのがおすすめです。
スワップポイントによるサヤ取りは利益を増やしにくい
スワップポイントによるサヤ取りは、FX会社間の金利差を利用してコツコツと利益を積み上げていく手法です。しかし、為替差益のように相場変動による大きな利益を狙うわけではないため、利益が大きくなりにくいのが特徴です。
この手法は、利益を短期間で大幅に増やすことは難しいものの、その分大きな損失を被るリスクも低く抑えられます。そのため、リスクを抑えながら安定した収益を積み上げていきたい、「ローリスク・ローリターン」の投資スタイルを好む投資家に向いている手法といえるでしょう。
FXでスワップポイントによるサヤ取りを始める4ステップ
FXでスワップポイントによるサヤ取りを始めるステップとして、以下4つの手順を紹介します。
- FX業者と銘柄を選ぶ
- 2つのFX業者でポジションを取る
- スワップポイントの差益を積み上げる
- ロスカットのリスクが高い場合は一度決済する
それぞれについて確認しましょう。
ステップ1:FX業者と銘柄を選ぶ
スワップポイントでのサヤ取りを始めるには、まず業者間のスワップポイントの差が大きい高金利通貨と信頼できるFX業者を選ぶことが重要です。人気の高金利通貨には、メキシコペソ/円、トルコリラ/円、南アフリカランド/円、NZドル/円などがあります。これらの通貨はスワップポイントが高く、サヤ取りに適しています。
次に、スワップポイントの差が大きいFX業者を選びます。小さなスワップポイント差から大きな利益を狙う場合はレバレッジをかける方法もありますが、レバレッジをかけすぎると強制ロスカットのリスクが高まります。そのため、リスクとリターンのバランスを考えた上で、適切なレバレッジを設定することが重要です。
また、海外の一部FX業者ではサヤ取りを禁止している場合があります。そのため、安心して取引を行うためには、国内のFX業者を利用することをおすすめします。
ステップ2:2つのFX業者でポジションを取る
次に、スワップポイントの差益を最大化するために、2つのFX業者でポジションを取ります。まず、リサーチを行い、買いポジションと売りポジションを保有するのに最適な業者を選定しましょう。
差益が大きい2つの業者を見極め、その業者間でスワップポイントの差を活用します。
サヤ取りを行うためには、以下の基本ルールを守ることが重要です。
- 同じ通貨ペアでポジションを持つ
- スワップポイントが高い業者で「買い」ポジションを保有する
- スワップポイントが低い業者で「売り」ポジションを保有する
これにより、スワップポイントの差益を効果的に得られます。一方の業者だけでポジションを持つのではなく、必ず2業者間で差益が発生するようにポジションを設定してください。
ステップ3:スワップポイントの差益を積み上げる
スワップポイントによるサヤ取りを実行するためには、毎日スワップポイントの差益を受け取ることが基本です。2つのFX業者間で安定してスワップポイントの差が得られる状態でポジションを保有したら、あとは毎日のスワップポイントを確実に受け取りましょう。
ただし、急な為替変動やFX業者のスワップポイントの変更には注意が必要です。これらの変動が利益に影響を与える可能性があるため、定期的に状況を確認し、リスクを管理しながらコツコツと利益を積み上げていくことが求められます。安定した収益を得るために、慎重に取引を続けましょう。
ステップ4:ロスカットのリスクが高い場合は一度決済する
為替変動によってロスカットのリスクが高まると、スワップポイントが高めに設定されている高金利通貨は特に影響を受けやすくなります。これにより、リスクが増大し、ポジションが強制的に決済される可能性があります。
相場を常に監視する必要はありませんが、定期的に状況をチェックし、為替変動によるロスカットのリスクが高まった場合には一度ポジションを決済するのが賢明です。これにより、予期しない損失を防げるでしょう。
初心者の場合は、少額から取引できるFX業者を選ぶのがおすすめです。例えば、最低取引単位が1,000通貨から可能な業者を利用すれば、資金面でのリスクを軽減しながら取引を行うことができます。
FXのサヤ取りで失敗しないためのコツ
FXのスワップポイントを利用したサヤ取りで成功するためには、以下のポイントに注意しましょう。
- レバレッジの設定
- 毎日相場を確認する
- 計画的な資金移動
まず、レバレッジの設定に注意しましょう。レバレッジを高く設定すると利益も大きくなりますが、ロスカットのリスクも増加します。初めは低レバレッジで取引を始め、サヤ取りに慣れてからレバレッジを調整するのがおすすめです。
また、毎日短時間でも相場を確認することが重要です。スワップポイントでの利益は安定していますが、為替の急変動によってロスカットのリスクが高まることがあります。相場の動きを定期的にチェックし、リスクが増大する前にポジションを決済して損失を最小限に抑えられるようにしましょう。
さらに、計画的な資金移動も欠かせません。サヤ取りでは資金の移動が必要になることがありますが、頻繁な資金移動は業者からの監視対象となる可能性があります。資金移動は月に数回程度に抑え、トレードがスムーズに行えるように心がけましょう。
まとめ
今回は、FXにおけるサヤ取りの種類とメリット・デメリット、具体的なやり方について解説しました。
サヤ取りの手法でFXの利益を積み上げるには、適切なリスクと資金の管理が欠かせません。
記事で紹介したポイントを参考にしながら、FXでのサヤ取りに挑戦してみてはいかがでしょうか。