「FX取引におけるプライスアクションの手法を知りたい」「チャートを使ってより精度の高い取引をしたい」という方は多いのではないでしょうか。
今回は、FXにおけるプライスアクションの定義を確認した上で、プライスアクションを使うメリットやデメリット、主な種類などを解説します。
チャート分析を深め、取引の成功率を高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
プライスアクションとは?
プライスアクションとは、ローソク足の動きを通じて市場の動向を分析する手法です。ローソク足は、トレーダーにとって視覚的な情報源であり、その形状やパターンから市場の心理を読み解くことができます。
各ローソク足には、
- 始値(その期間の最初の価格)
- 終値(その期間の最後の価格)
- 高値(その期間中の最も高い価格)
- 安値(その期間中の最も低い価格)
といった重要な情報が含まれています。
ローソク足の実体やヒゲの長さや形状が異なることから、トレーダーは相場の強弱や転換点を予測することが可能です。例えば、実体が長いローソク足は強いトレンドを示し、ヒゲが長いローソク足は逆張りの兆候を示すことがあります。
このように、プライスアクションを利用することで、複雑な指標を使わずに直感的に市場の動きを捉えやすくなります。
プライスアクションとインジケーターの違い
FX取引では、チャート分析を通じて市場の動きを予測するテクニカル分析が一般的です。
このテクニカル分析には、主にプライスアクションとインジケーターの二つの手法があります。プライスアクションは、ローソク足の形状やパターンから直接市場の動きを予測します。一方、インジケーターは、価格の数値を基にした計算式を使って、平均値やトレンドを示す線や図形を使い予測するものです。
プライスアクションの大きな特徴は、個々のローソク足からその後の値動きを予測できることであり、トレーダーが素早く判断を下す際に有利です。インジケーターはデータの集計と計算を伴うため、判断に若干の遅れが生じることがありますが、過去のデータを元にした安定した指標を提供します。
どちらの手法も一長一短があり、トレーダーのスタイルや目的に応じて使い分けることが求められます。
プライスアクションと酒田五法の違い
日本のトレーダーの間では、酒田五法が愛用されています。酒田五法は、江戸時代の米相場師・本間宗久が提唱した日本発祥のテクニカル手法で、特に株式トレーダーに広く支持されています。
一方、プライスアクションは主に海外の投資家に愛用される手法です。どちらも優れたテクニカル分析手法ですが、FX取引においてはプライスアクションのほうが有効と言われています。
その理由として、現在の為替相場の主要なプレイヤーがヨーロッパやアメリカの投資家である点があります。これらの地域では金融取引に対する抵抗感が少なく、機関投資家の数や取引金額が多いため、市場の大筋の動きを彼らが決定すると言っても過言ではありません。そのため、彼らが重視するプライスアクションのほうが、為替市場においては影響力が大きいのです。
また、酒田五法のルールは株式相場には適しているものの、為替相場には必ずしも適合しないことがあるため、為替相場ではプライスアクションを使った分析が有効といえます。
FXでプライスアクションを使うメリット
FXでプライスアクションを使うメリットとして、以下の2点があります。
- ローソク足には相場の情報が詰め込まれている
- トレーダー心理による次の値動きを予測できる
それぞれの項目について解説します。
ローソク足には相場の情報が詰め込まれている
FXでプライスアクションを活用する大きなメリットの一つは、ローソク足には相場の重要な情報が詰め込まれていることです。
ローソク足は、設定した期間内の始値、終値、高値、安値を一本のチャートにまとめています。例えば、1時間足を表示すると、その1時間内の市場の動きやトレーダーの心理を一目で把握できます。
これにより、リアルタイムで市場の状況を理解し、次のトレード戦略を迅速に立てやすいことが特長です。
トレーダー心理による次の値動きを予測できる
プライスアクションを使うもう一つの大きなメリットは、トレーダー心理を迅速に読み取れることです。
ローソク足が確定すると、その形状やパターンから次の値動きを即座に予測することが可能です。ローソク足は、始値、終値、高値、安値の4本値で構成されており、その実体やヒゲの長さには市場参加者の心理が反映されています。
この情報を基に、買い手と売り手の勢力を瞬時に判断可能です。
FXでプライスアクションを使うデメリット
FXでプライスアクションを使うデメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- プライスアクションのみで勝てるとは限らない
- 極めるのが難しい
それぞれについて、内容を見ていきましょう。
プライスアクションのみで勝てるとは限らない
プライスアクションはFXトレードにおいて強力な手法ですが、それだけで必ずしも勝てるわけではありません。プライスアクションは、相場の一部を切り取って分析するため、すべての動きを正確に予測することは難しいです。
パターン通りに価格が動かないことも多く、その結果として誤ったトレード判断を下すリスクもあるでしょう。
例えば、ローソク足のパターンが示す方向に従っても、実際にはトレンドと逆行する動きが発生し「だまし」となるケースもあります。このような場合、トレンドに逆らった取引は損失を生む可能性があるため、プライスアクションを活用する際には、他の分析手法と組み合わせることが重要です。
極めるのが難しい
プライスアクションを活用する際のもう一つのデメリットは、極めるのに時間がかかることです。プライスアクションは、生の価格データに基づく分析手法であるため、ローソク足の形状やパターンを理解するだけでは不十分といえます。実際に相場の流れを読むためには、多くの経験と練習が必要です。
初心者がプライスアクションを使っても、相場の全体像を把握できず、単なるパターン認識に頼りすぎると、誤った判断をしてしまうことがあります。その結果、損失を被るリスクが高まってしまうため、トレンドの把握を優先し、全体の流れを理解した上でプライスアクションを活用することが欠かせません。
FXで重要となるプライスアクションの種類一覧
FXに取り組む上で押さえておきたいプライスアクションとして、以下が挙げられます。
- スラストアップ・スラストダウン
- ピンバー
- ランウェイアップ・ランウェイダウン
- リバーサルハイ・リバーサルロー
- フェイクセットアップ
- インサイドバー・アウトサイドバー
- フォールスブレイクアウト
それぞれについて解説しますので、違いを理解し、押さえておきましょう。
スラストアップ・スラストダウン
FXで重要なプライスアクションの一つに、スラストアップとスラストダウンがあります。
スラストアップとは、直前のローソク足の高値よりも、高い位置で終値が確定することを指します。これは、強いトレンド相場でよく見られ、買いの勢いが非常に強いことを示しています。
このパターンが出現した場合、買いのポジションを取ることが有利とされますが、勢いが強すぎると逆に調整が入る可能性もあるため、慎重な判断が欠かせません。
一方、スラストダウンとは、直前のローソク足の安値よりも低い位置で終値が確定することです。これは、売りの勢いが強い時に頻繁に見られます。
このパターンが出現すると、売り圧力が非常に強いことを示し、安易に買いポジションを取ると下落の波に巻き込まれて大きな損失を被るリスクがあります。そのため、スラストダウンが確認された場合は、売りのポジションを取るか、少なくとも買いのエントリーを控えることが賢明です。
ピンバー
ピンバーは、トレンド転換を示す強力なシグナルとして知られています。その名前の由来は、ピノキオの長い鼻にちなんでいるとも言われ「ヒゲの長さが実体の3倍以上になっているローソク足」で定義されます。
このパターンは、長い上昇トレンド中に出現する売りのピンバーや、長い下降トレンド中に出現する買いのピンバーが特徴的です。売りのピンバーが示す長い上ヒゲは、売りの勢いが強く一時的に高値をつけたものの、その後売り圧力に押されて高値を維持できなかったことを示しています。この場合、トレンドが下方向に転換する可能性が高いでしょう。
逆に、長い下降トレンド中に現れる買いのピンバーは、売りの勢いが弱まり買いの勢いが強まっていることを示唆し、これもトレンドの転換点として注目されます。
ランウェイアップ・ランウェイダウン
ランウェイアップとランウェイダウンは、継続的なトレンドの強さを示す重要なプライスアクションパターンです。
ランウェイアップは上昇トレンド中に現れ、次の条件を満たします。
ランウェイアップの条件
- 高値が過去n本のローソク足より高い
- 安値が直後n本のローソク足を下回らない
一方、ランウェイダウンは、下降トレンド中に出現し、次の条件を満たします。
ランウェイダウンの条件
- 安値が過去n本のローソク足より低い
- 高値が直後n本のローソク足を上回らない
ランウェイアップが買いの強さを示すのに対し、ランウェイダウンは売りの強さを示します。
リバーサルハイ・リバーサルロー
リバーサルハイとリバーサルローは、トレンドの転換を示す重要なプライスアクションパターンです。
リバーサルハイは、上昇トレンドから下降トレンドへの転換時に現れ、以下の条件を満たします。
リバーサルハイの条件
- 1本前のローソク足の高値を当日の高値が更新する
- 前日の終値よりも終値が低くなる
高値を更新したものの、終値が前日を下回るため上昇の勢いが弱まり、その後は下落トレンドに転換する可能性が高いと判断されます。
反対に、リバーサルローは下降トレンドから上昇トレンドへの転換時に発生し、以下の条件を満たすものです。
リバーサルローの条件
- 1本前のローソク足の安値を当日の安値が更新する
- 前日の終値を終値が上回り、最終的に1本前のローソク足の高値を上回る
このパターンが示すのは、売り方の勢いが衰えており、上昇の可能性が高まっていることです。
フェイクセットアップ
フェイクセットアップは、レンジ相場でのブレイクアウトが失敗し、その後逆方向に急激な値動きが生じる際に現れる重要なプライスアクションパターンです。
このパターンは、以下の特徴を持ちます。
- レンジ相場のサポートラインやレジスタンスラインをブレイクするかのように見えるが、その後に逆方向への動きが加速する
- ブレイクアウト後の終値がレンジ相場の中に戻り、ブレイクアウトが実際には成立していなかったことが明らかになる
- ブレイクアウト失敗後、ローソク足に長い下ヒゲが形成される
上記の条件が揃うと、買い方の勢いが強まり、逆方向への動きが加速する可能性が高まります。
インサイドバー・アウトサイドバー
インサイドバーとアウトサイドバーは、保ち合い相場やトレンド発生前に現れる重要なプライスアクションパターンであり、特に上昇トレンドの場合に注目されます。
インサイドバーは、最初のローソク足の範囲で価格が収束しているパターンです。買いと売りの勢いが拮抗しているものの、いずれかの方向に大きく動くとトレンド相場に移行しやすくなります。
一方、アウトサイドバーはインサイドバーとは逆に、最初のローソク足の高値と安値を更新する形で形成されます。つまり、ローソク足が安値を更新したものの、前のローソク足よりも終値が高い位置で終わることで、買いの勢いが強いと判断できます。
アウトサイドバーが形成された後、次のローソク足で高値を超えれば、上昇トレンドが継続する可能性が高まるでしょう。
フォールスブレイクアウト
フォールスブレイクアウトは、サポートまたはレジスタンスからのブレイクアウトが失敗し、その後逆方向への急激な値動きが生じるときに発生するプライスアクションパターンです。
このパターンは、以下の特徴を持ちます。
- 直近の安値または高値を更新したローソク足が形成される
- ローソク足には長い下ヒゲや上ヒゲが見られ、終値は逆方向への動きを示す位置にある
チャート上でサポートやレジスタンスからのブレイクアウトが試みられたものの、失敗した結果、逆方向への動きが加速することがあるため注意が必要です。
まとめ
今回は、FXに挑戦する上で押さえておきたい7つのプライスアクションを紹介しました。プライスアクションを極めることは簡単ではありませんが、トレードする上で見逃せない指標の一つであるため、徐々に知識を身につけることが大切です。
記事で紹介したチャートパターンを参考にしながら、プライスアクションを見て瞬時に相場の状況を把握できるよう、経験を重ねていきましょう。