「FX取引とふるさと納税を組み合わせて節税したい」「ふるさと納税を利用する際のポイントを知りたい」という方は多いのではないでしょうか。
今回は、FXトレーダーがふるさと納税を行うメリットやおすすめの理由、控除限度額、申告方法などについて解説します。ふるさと納税で節税対策をしながら地域に貢献したいFXトレーダーの方は、ぜひ最後までご覧ください。
FXトレーダーがふるさと納税を行うメリット
FXトレーダーがふるさと納税を行うメリットは、合計所得の増加によってふるさと納税の控除限度額が上がることです。
株式投資やFXでの所得はふるさと納税の控除対象となり、会社員であれば給与所得と合算して納税額を計算できます。そのため、合計所得が増えれば控除限度額が拡大し、受け取れるお礼の品の選択肢も増えます。
ただし、損失が出た場合は控除限度額は変動せず、税金を少なくすることはできません。控除限度額の増加は取引条件や種類によって異なるため、注意が必要です。
FXトレーダーにふるさと納税がおすすめな理由
FXトレーダーにふるさと納税がおすすめな理由として、以下の3点が挙げられます。
- 所得税と住民税の節税につながる
- 返礼品をもらえる
- 好みの自治体を応援できる
それぞれについて解説します。
所得税と住民税の節税につながる
FXトレーダーがふるさと納税を行うことで、所得税と住民税の節税効果があります。
ふるさと納税では、寄付した金額の一部を所得税と住民税から控除できる「寄付金控除」があり、寄付額の2,000円を超える部分が控除の対象となります。
例えば、5万円の寄付をした場合、自身の住んでいる地域から48,000円が所得税と住民税から控除されるため、わずか2,000円で豪華な返礼品を受け取れて、かつ節税効果があることは大きな利点です。
このように、FXトレーダーがふるさと納税を行うことで、所得税と住民税の節税効果が得られます。ふるさと納税による寄付金控除を活用すれば、寄付額の一部が税金から控除されるため、豪華な返礼品を受け取りながら税金の負担を軽減できます。
返礼品をもらえる
ふるさと納税では、寄付する自治体から返礼品がもらえることが魅力の一つです。
ふるさと納税では、寄付に応じて自治体から魅力的な返礼品がもらえることが特徴です。返礼品には地域の名産品や工芸品、日用品、体験チケットなど、さまざまなアイテムが含まれます。これらは自分ではなかなか手に入れないような豪華なものもあり、届くまでの期待感が好きだという方も多いかもしれません。
自治体によって提供される返礼品の種類や内容は異なりますが、ふるさと納税を通じて地域の魅力を感じられるでしょう。
好みの自治体を応援できる
ふるさと納税では好みの自治体を応援できるため、自身が育ったり、お世話になったりした自治体だけでなく、全国各地の自治体に寄付が可能です。これにより、自分の関心や思い入れのある地域に対して支援を行えます。
寄付金が集まれば、地域の課題解決や活性化に役立つこともあるため、離れた場所に住んでいても、地域貢献に参画できるのは大きなメリットです。
FXトレーダーがふるさと納税を行う際の控除限度額
ふるさと納税における控除限度額は、個人の所得に応じて決まります。つまり、株式投資やFXなどによって得た所得が増えると、控除限度額もそれに応じて増加する仕組みです。
この控除限度額の具体的な増加額を計算するためには、以下の計算式を用います。
控除限度額 = {(個人住民税所得割額 × 20%)÷(90% – 所得税率 × 1.021)} + 2,000円
個人住民税所得割額は、市町村から交付される個人住民税の納税通知書に記載されている「市区町村民税の所得割額」と「都道府県民税の所得割額」の合計です。この値を求めるためには、以下の式を用います。
個人住民税所得割額 = {(前年の総所得金額等 – 所得控除額)} × 税率(10%)- 税額控除額
株式譲渡益、配当金(上場株式の場合)、FXによる利益にかかる税率は、所得税が15.315%、住民税が5%であるため、合計20.315%となります。したがって、株式投資やFXなどの利益に対する「個人住民税所得割額」は、所得(利益)額に住民税率(5%)を乗じることで計算できます。
ふるさと納税の2種類の申告方法
ふるさと納税の手続きを行うためには、以下2種類の申告方法から選べます。
- ワンストップ特例制度
- 確定申告
ワンストップ特例制度を利用できる場合は簡単に手続きが完了しますが、全ての方が選択できるとは限りません。対象となる方を含めて、それぞれの申告方法について解説します。
ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度は、ふるさと納税の手続きを簡略化できる制度です。この制度を利用すれば、確定申告や住民税の申告が不要な給与所得者などでも手続きを簡単に行えます。
具体的には、以下の条件に該当する人が申請用紙と本人確認書類をふるさと納税を行った際、ワンストップ特例制度の申請用紙と本人確認書類を翌年1月10日までに郵送することで利用できます。
ワンストップ特例制度が利用できる条件
- 給与所得者といった確定申告・住民税申告が不要な方
- ふるさと納税での寄付先が5団体以下の方
本人確認書類はマイナンバーカードの両面写し、マイナンバーの通知カードか住民票の写しと運転免許証かパスポートの写し、またはそれらに加えて健康保険証や年金手帳、自治体が認める公的書類の組み合わせが必要です。
確定申告
ワンストップ特例制度の対象外となる人は、ふるさと納税の寄付金を含めて確定申告する必要があります。例えば、口座から源泉徴収されない株やFXなどの投資商品から得た利益が20万円以上ある場合や、7団体以上に寄付した場合、医療費控除を受けたい場合などが該当します。これらの場合、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告しなければなりません。
さらに、株やFXの利益によってふるさと納税の限度額を上げるには、所得が上がったことを証明するためにも確定申告が必要です。ワンストップ特例制度の適用条件に該当する場合でも、ふるさと納税の限度額を拡大したい場合は、確定申告が必要になることを押さえておきましょう。
FXの利益がある場合のふるさと納税の申告方法とは?
FXでは特定口座が存在しないため、得た利益の金額にかかわらず確定申告が必要です。特に、FXの利益が20万円以上の場合は、雑所得として確定申告を行わなければなりません。
さらに、FXの利益が20万円以下であっても住民税の申告が必要であり、ふるさと納税のワンストップ特例制度が利用できないため、確定申告を通じてふるさと納税の金額を申告する必要があります。
雑所得にはFXの利益以外にも、業務委託で得た副業の収入などが含まれることもあります。そのため、申告漏れを避けるために全ての収入金額を正確に把握し、確定申告を行うことが重要です。
ふるさと納税の限度額アップのために確定申告する際のポイント
「ふるさと納税の限度額を増やして節税効果を高めたい」と思っている方が多いかもしれませんが、限度額が増えることにはメリットがある一方、以下のポイントにも注意する必要があります。
- 国民健康保険料が上がる可能性がある
- 扶養から外れる可能性がある
- 今受けている支援や控除が受けられなくなる可能性がある
それぞれについて解説します。
国民健康保険料が上がる可能性がある
株やFXなどの利益を確定申告することで、国民健康保険の保険料が上がる可能性があります。これは、国民健康保険に加入している人(個人事業主や専業投資家など)が申告した所得額に応じて翌年の保険料が変更されるためです。
国民健康保険の保険料は、所得に応じて異なる「所得割」と加入者数で異なる「均等割」から成り立っています。このうち、所得割は株やFXの利益による影響があり、利益が増えるほど支払額が多くなる仕組みです。
ただし、源泉徴収ありの特定口座で利益を得た場合は確定申告が不要であり、保険料を計算する際の所得に加算されないず、どれほどの利益があっても保険料に影響しません。
扶養から外れる可能性がある
株やFXで利益を得る場合、家族の扶養に入っている人は扶養から外れる可能性があります。株やFXの利益は48万円の基礎控除しか適用されないため、この金額を超える利益が生じると扶養の対象から外れるため注意しましょう。
たとえば、FXで年間70万円の利益を得た被扶養者がいれば、扶養対象外として見なされます。この場合、基本控除を超えた22万円分が課税対象となり、国民健康保険料や国民年金を自己納付する義務が発生します。
ただし、上述と同様、源泉徴収ありの特定口座での利益は所得額の計算には加味されないため、48万円以上の利益を得ても扶養から外れる心配はありません。
今受けている支援や控除が受けられなくなる可能性がある
所得額が上昇した場合、現在受けている支援や控除の対象から外れる可能性があります。支援や控除は一般的に所得額に応じて決まるため、所得が増加するとそれらの対象外になることがある点に注意しましょう。
ただし、株の利益が20万円以下であり、一般口座や源泉徴収の特定口座を利用している場合は、確定申告は必要ありません。
ふるさと納税でFXが会社にばれることはある?
ふるさと納税を通じてFXが会社にばれる可能性がある理由は、給与取得に関する住民税の特別徴収額の決定通知書にあります。
住民税は年間の収入に応じて支払う額が決まります。したがって、副業や投資によって収入が増加すると、住民税の税額も増加します。
このとき、ふるさと納税によって住民税の決定通知書に記載される金額が、給与所得に応じた税額を上回る場合、会社側が他の収入源があることに気づいてしまうかもしれません。そのため、会社に給与以外の収入源があることが露呈することを避けるためには、次に紹介する方法による対策が必要です。
また、同僚や上司などとの会話でFXをやっていることをうっかり口外しないよう、配慮することも欠かせません。
ふるさと納税でFXが会社にばれないようにするための方法
ふるさと納税でFXをやっていることが会社にばれないようにするための方法として、以下の2つが挙げられます。
- 住民税の徴収方法を普通徴収に変える
- ふるさと納税の確定申告をせずに後日手続きを行う
それぞれについて解説します。
住民税の徴収方法を普通徴収に変える
ふるさと納税の申告でFXをやっていることが会社にばれないようにする方法の1つ目に、住民税の徴収方法を普通徴収に変更することが挙げられます。
確定申告時には、会社以外の収入に関する住民税の徴収方法を「特別徴収」「普通徴収」から選択できます。
このとき、「特別徴収」を選ぶと住民税が会社からの給与から天引きされるため、FXによる収入が会社にバレる可能性があるでしょう。一方、「普通徴収」では、副業で得た収入に関する住民税を自ら納付する必要があるため、会社に給与以外の収入源があることがばれるのを回避できます。
ふるさと納税の確定申告をせずに後日手続きを行う
ふるさと納税の申告でFXをやっていることが会社にバレないようにするための2つ目の方法は、ふるさと納税の確定申告はせず、後日更正請求の手続きを行うことです。
住民税の徴収方法を普通徴収にした場合でも、ふるさと納税の税額控除が多い場合は普通徴収分から引ききれずに特別徴収分の住民税から控除されるケースもあります。その結果、会社に副業をしていることがバレてしまうかもしれません。
対処法として、ふるさと納税の確定申告を行わずに、後に更正請求の手続きを取ることがおすすめです。これにより、会社にFXをしていることやFXによる利益額がバレるのを防げます。
まとめ
今回は、FXトレーダーがふるさと納税を行うメリットや申告方法、ふるさと納税の限度額を上げる際の注意点などについて解説しました。FXトレーダーがふるさと納税をすることで所得税と住民税の節税効果があるほか、好みの自治体を応援して返礼品をもらえることは大きなメリットといえます。
ただし、ふるさと納税を通じてFXの収入が会社側に通知されてしまうことがあるため、ばれないようにFXに取り組みたい方は、住民税の徴収方法を普通徴収に変える、ふるさと納税の確定申告をせずに後日手続きを行うといった方法を検討しましょう。