「スキャルピングでのエントリータイミングがわからない」「ADXを使ったトレード方法が理解できない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
今回は、ADX(平均方向性指数)の概要や設定方法、FXスキャルピングでの活用方法などについて解説します。
「ADXを活用したエントリータイミングを知りたい」「スキャルピングで利益を上げるための具体的な方法を知りたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
ADXとはFXにおけるインジケーターのひとつ
ADX(Average Directional Index=平均方向性指数)は、トレンドの強さを測るために使用されるテクニカル指標で、FX取引において非常に役立ちます。
ADXは、「ADX」「+DI」「−DI」の3つのラインで構成されています。その中で、ADXラインはトレンドの有無と強さを示す指標であり、高い数値ほど強いトレンドが形成されていることを意味します。
逆に、ADXの数値が低い場合は、トレンドが弱いか、もしくはレンジ相場であることを示唆します。このインジケーターを使うことで、トレンドの変化をいち早く察知し、効果的なトレード戦略を立てることが可能です。
DMI(+DI、-DI)との関係
ADXは、トレンドの強さを示す指標であり、+DI(プラス方向指標)と−DI(マイナス方向指標)と密接に関連しています。
+DIは上昇トレンド、−DIは下降トレンドを示し、ADXが20以上になると明確なトレンドが発生していると判断できます。このとき、どちらのDIが上に位置しているかによって、上昇トレンド(+DIが上)または下降トレンド(−DIが上)を識別可能です。
ADX自体はトレンドの強さを示し、DIはそのトレンドの方向を示すため、両者を組み合わせることでトレンドの発生とその強さ、さらには方向性を把握することができます。
DMI(+DI、-DI)の計算式
DMI(+DI、−DI)の計算は、まず「±DM(Direction Movement)」を求めることから始まります。
±DMは、当日の高値と前日の高値、または安値を比較して計算します。例えば、当日の高値が105円、前日の高値が103円だった場合、+DMは2円になります。また、−DMは当日の安値と前日の安値を比較して算出します。もし当日の安値が102円、前日の安値が104円なら、−DMは2円となります。
次に、±DMの値を基に、TR(True Range)を計算します。TRは、次の3つのうち最も大きい値を選んでください。
- 当日の高値 – 当日の安値
- 当日の高値 – 前日の終値
- 前日の終値 – 当日の安値
これをもとに、次の計算式を使用して+DIと-DIを求めます。
- +DI =(n日間の+DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100
- −DI =(n日間の−DMの合計)÷(n日間のTRの合計)×100
この計算により、トレンドの方向を示す指標を得られます。
ADXの計算式
ADX(Average Directional Index)を算出するには、まずDX(Directional Index)を求める必要があります。DXについては、前項で求めた+DI(上昇トレンド指標)と−DI(下降トレンド指標)の差の絶対値を、それらの合計で割った値です。
具体的には、次の式で計算します。
DX =( +DI − −DI の絶対値)÷(+DI + −DI の合計)× 100
このDXはトレンドの強さを示す指標で、数値が大きいほどトレンドが強いことを意味します。
次に、このDXの値を基にADXを求めます。ADXを求める式は以下の通りです。
ADX = DXのn日間の移動平均
この移動平均により、短期間の変動に影響されず、より安定したトレンドの強さを把握できます。ADXの数値が高いほど、トレンドが明確であることを示しています。
MT4やMT5でのADXの設定・表示方法
MT4やMT5でADXを表示するのは簡単です。
まず、プラットフォームを開いてチャート画面で「挿入」メニューをクリックし、その後「インジケーター」を選択します。
次に「トレンド」を選び、その中から「Average Directional Movement Index」を選択すれば、ADXがチャートに追加されます。
また、ADXの数値をより見やすくするために、インジケーターの設定でレベルを追加することがおすすめです。特に、トレンドが強いとされるレベル20を表示させると便利にトレードに活用できるでしょう。
これにより、ADXが20以上の場合に強いトレンドが形成されていることが一目でわかります。設定を調整し、自分の取引スタイルに合わせてトレンドを把握できるようにしましょう。
ADXを使ったFXスキャルピングの基本トレード手法
ADXを使ったFXスキャルピングの基本のトレード手法として、以下の2パターンを紹介します。
- ロングエントリーのやり方
- ショートエントリーのやり方
それぞれ見ていきましょう。
ロングエントリーのやり方
ADXを使用したロングエントリー(買い)の基本的な手法は、DMIとADXの組み合わせを活かすことです。
まず、+DI(上昇トレンド指標)が40以上であることが前提となります。この状態では、相場が強い上昇トレンドにあることを示しています。次に、ADXが40以上であれば、トレンドが強く続いていることを意味し、エントリーのタイミングとして適しているといえるでしょう。
また、ロングエントリーを行う際には、下位時間足で逆張りエントリーを検討するのが効果的です。これにより、短期的な調整局面を狙ってエントリーし、利益を上げることが可能になります。
この手法は、トレンドの強さを確信した上で、より精度の高い取引をおこないたいトレーダーにおすすめです。
ショートエントリーのやり方
ショートエントリー(売り)の基本手法は、ADXとDMIを使ってトレンドの方向と強さを確認し、適切なタイミングでエントリーを行うことです。
まず、-DI(下降トレンド指標)が40以上であることが重要です。この状態は、相場が強い下落トレンドにあることを示しています。次に、ADXが40以上であれば、トレンドが明確であり、売りのエントリーポイントとして適しているでしょう。
ショートエントリーを行う際には、下位時間足で逆張りエントリーを選択することで、短期的な調整を狙い、利益を確保しやすいです。この方法はシンプルで効果的ですが、実際に運用するには十分な検証が必要です。
単にこの手法を実践するだけでは継続的な利益を得るのは難しいため、自分なりに検証して確実に実践できるようにしてみてください。
【応用】ADXに移動平均線を組み合わせたスキャルピング手法
ここからは、さらにトレードの精度を高める応用編として、ADXに移動平均線を組み合わせたスキャルピング手法を紹介します。
ロングエントリー、ショートエントリーについて、それぞれルールを見ていきましょう。
ロングエントリーのルール
ロングエントリー(買い)では、ADXと移動平均線を組み合わせて、トレンドの強さと方向性を確認します。まず、価格がSMA200(200期間単純移動平均線)より上にあることが前提です。これは、相場が上昇トレンドにあることを示しています。
次に、価格がEMA10(10期間指数移動平均線)の帯を上抜けるタイミングでエントリーします。EMA10が価格の上昇をサポートし、強い上昇トレンドを示唆します。
また、ADXが40以上で上昇中であることも確認しておきましょう。ADXがこのレベルを超えていると、トレンドが強いと判断でき、エントリーポイントとして理想的です。
ただし、ADXが40未満だったり、上昇していなかったりする場合は、無理にエントリーするのではなく、次のチャンスを待つほうが安全といえます。その場合は、再度ADXが40を超え、EMA10の上抜けを確認できるまで待つと良いかもしれません。
ショートエントリーのルール
ショートエントリー(売り)のルールでは、ADXと移動平均線を活用して、トレンドに乗る形でエントリーします。まず、価格がEMA10の帯を下抜けるタイミングで売りエントリーを検討します。この場合、価格は下降トレンドに戻る可能性が高いため、戻り売りを狙います。
さらに、ADXが40以上で上昇中であることが確認できる場合、トレンドの強さが十分に高いと判断できます。これにより、下降トレンドの継続を期待してエントリーすることが可能です。
損切りは、直近の高値または安値を基準に設定するのが一般的です。しかし、これだけでは十分な判断基準とはいえないため、サポートラインやレジスタンスラインを組み合わせて慎重に考えると良いでしょう。
ADX以外におすすめなスキャルピング向きのテクニカル指標
ここでは、ADX以外にもおすすめできる、スキャルピング向きのテクニカル指標を紹介します。
- トレンドライン
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- RSI
- MACD
上記の5つについて、それぞれ特徴を見ていきましょう。
トレンドライン
トレンドラインは、チャート上の安値または高値を結ぶ直線で、最も基本的かつ重要なテクニカル指標の一つです。スキャルピングでは、このトレンドラインを活用して市場の動向を把握します。
特に、安値同士を結んだ上昇トレンドラインはサポートライン(支持線)として機能し、このライン付近で価格が反発して上昇することがよくあります。
逆に、高値同士を結んだ下降トレンドラインはレジスタンスライン(抵抗線)となり、価格がそのラインで抑えられて下落する可能性が高いです。また、トレンドラインが水平に並ぶ場合、レンジ相場となり、価格が一定の範囲内で上下の動きを繰り返すことがあります。
移動平均線
移動平均線は、過去の為替データを基に計算された平均的な価格動向をチャートに反映する指標です。スキャルピングでは、短期・中期・長期の移動平均線を用い、これらの線の傾きや位置関係を分析してエントリーや決済のサインを見極めます。
上昇のサインとしては、短期線が長期線を下から上に抜けるゴールデンクロスが挙げられます。このパターンが発生した際、特に短期線が急角度で上抜けるほど、上昇トレンドが強い兆しとなります。
一方、下落のサインはデッドクロスで、短期線が長期線を上から下に抜けた時に出現します。このとき、長期線が下向きで短期線が急角度で下抜けるほど、下落の勢いが強いと判断できます。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、移動平均線を中心に上下に±3標準偏差(σ)を設定したバンドで、相場の過熱感を視覚的に捉えられるものです。この指標を使用することで、価格がどれだけ過剰に動いているかを判断できます。
特に、価格が-3σに近づくと過剰に売られている状態となり、反発の可能性が高くなるため、買いのタイミングとされます。一方で、+3σに近づくと、過剰に買われている状態と見なされ、反落の可能性があるため売りのシグナルとなります。
実際のトレードでは、-3σでの買い、+3σでの売りという逆張り戦略が一般的です。ただし、±2σまでで収まる確率が高いため、より慎重に取引するために±2σまでの表示を利用するトレーダーも多いです。
RSI
RSI(相対力指数)は、レートの過熱感を測るための指標で、0~100の範囲で動きます。一般的には、RSIが30以下になると「売られすぎ」、70以上になると「買われすぎ」とされ、これらの水準が反転のサインとして注目されます。
スキャルピングにおいては、RSIが30以下で反発を狙って買い、70以上で反落を予測して売るという逆張り戦略が有効です。
RSIは過去の一定期間の価格変動を元に算出されるため、短期間での過熱感を迅速に捉えることができます。そのため、スキャルピングにおいて重要なタイミングを見極めるために活用されます。
MACD
MACD(マックディー)は、移動平均線を基にしたテクニカル指標で、主にMACD線とシグナル線の交差や位置関係から売買のサインを得るために使用されます。上昇のサインは、MACD線がシグナル線を下から上に抜けるゴールデンクロスで、逆に下落のサインはMACD線がシグナル線を上から下に抜けるデッドクロスです。
ゴールデンクロスが発生した場合、MACD線がシグナル線を垂直に近い角度で上抜けるほど、強い買いシグナルと見なされます。同様に、デッドクロスが発生するときは、MACD線がシグナル線を強く下抜けるほど、強い売りサインと捉えられます。
特に、MACDの0ラインから遠くで発生したクロスはトレンドの強さを示すため、多くのトレーダーが注目しているポイントです。
まとめ
今回は、ADXを活用したFXスキャルピングの基本のトレード手法について解説しました。ロングエントリー・ショートエントリーのそれぞれのポイントを紹介しましたので、ぜひ実践に活用してみてください。
また、ADXのほかにもスキャルピングに有効なテクニカル指標は多く存在するため、自分に合ったインジケーターを選び、トレードの精度を高めていきましょう。