「CFDとFXの違いがよくわからない」「どちらを選ぶべきか悩んでいる」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
自分に合った投資方法を選ぶためには、CFDやFXの特徴をしっかりと理解した上で選ぶことが欠かせません。
今回は、CFDとFXの基本的な違いやそれぞれの取引方法の特徴、CFD・FXが向いている人の特徴について詳しく解説します。
「自分に最適な取引方法を知りたい」「リスクを抑えつつ利益を狙いたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
CFDとFXの5つの違い
CFD(Contract for Difference=差金決済取引)とFXの主な違いとして、以下の5つがあります。
- 取引対象の銘柄
- 取引する単位
- 最大のレバレッジ
- ロスカット
- インカムゲイン
それぞれ解説しますので、投資方法の違いを理解し、自分の投資スタイルに合ったほうを選べるようにしましょう。
取引対象の銘柄
CFD(差金決済取引)は、さまざまな金融商品に投資できるのが特徴です。たとえば、金や原油などのコモディティ、株価指数、さらにはテスラやマイクロソフトなどの個別株式も取引の対象となります。これにより、CFDは多様な市場にアクセスでき、投資戦略も幅広く展開することが可能です。
一方、FXは外国為替市場に特化しており、米ドル、ユーロ、円などの通貨ペアを取引します。CFDに比べて取引対象は限られていますが、その分通貨市場に集中した分析と戦略が求められることが特徴です。
取引する単位
CFDでは、取引の対象によって取引単位が異なる点が特徴です。たとえば、株価指数CFDや商品CFDでは、日経225のような指数が参照原資産となり、その価格の10倍が1取引単位になります。仮にCFD価格が25,000円の場合、1取引単位は25万円となりますが、10倍のレバレッジを活用することで、実際の必要証拠金は2万5,000円程度で済みます。
一方、FXは通貨ペアを取引し、一般的には1Lotを10,000通貨としてカウントします。最低取引単位は0.1Lot(1,000通貨)と設定されていることが多く、たとえば、1ドル100円の相場であれば、0.1Lotの取引には10万円が必要です。FXはCFDに比べて取引単位がシンプルであり、通貨ペアごとのロットサイズを覚えることで、初心者にも理解しやすい取引形式と言えるでしょう。
最大のレバレッジ
CFDでは、取引する金融商品によってレバレッジの最大値が異なります。たとえば、株価指数CFDの日経225やNYダウを参照原資産とする場合、最大レバレッジは10倍です。一方、WTI原油や天然ガス、コーヒー先物などの商品の場合は、最大20倍のレバレッジを利用できます。さらに、中国株や米国株を対象とした株式CFDでは、5倍が上限となります。
対して、FXでは個人取引の最大レバレッジは25倍に固定されています。これにより、通貨ペアにかかわらず一律の条件で取引が可能です。レバレッジは少ない資金で大きな取引ができる反面、損失も膨らみやすいため、リスク管理が重要です。
ロスカット
CFDとFXではロスカットルールが異なるため、それぞれの取引ルールをしっかり確認することが重要です。ロスカットとは、相場が急変し損失が拡大しそうなときに、自動的にポジションを決済してそれ以上の損失を防ぐ仕組みです。ただし、これによって意図せずすべてのポジションを失う可能性もあるため、注意が必要です。
FXでは、たとえば証拠金維持率が50%を下回ると自動的にロスカットが発動します。
一方、CFDでは各ポジションごとにロスカットのレートが設定され、そのレートに達すると自動決済が行われます。証拠金を追加することでロスカットラインを調整できるため、リスク管理を行いやすい点がCFDの特徴です。
インカムゲイン
インカムゲインとは、金融商品を一定期間保有することで得られる利益を指し、主に配当金や収益分配金が含まれます。これに対し、キャピタルゲインは金融商品を売却することによって得られる売買差益を表します。
CFDとFXの両方には、ポジション保有中に得られるインカムゲインがあります。
FXの場合、スワップポイントがインカムゲインに相当します。スワップポイントは、通貨ペア間の金利差に基づくもので、低金利の通貨を売却し高金利の通貨を購入すると得られます。
日本円は超低金利のため、多くの対円通貨ペア(例:〇〇/JPY)の買いポジションにはスワップポイントが付与される傾向があります。特に金利差が大きいメキシコペソ円(MXN/JPY)や南アフリカランド円(ZAR/JPY)は、スワップポイント狙いのトレードにおいて人気の通貨ペアです。
CFDの特徴
CFDの特徴として、以下の2つが挙げられます。
- 価格変動の要因を掴みやすい
- リスクヘッジしやす
それぞれ解説します。
価格変動の要因を掴みやすい
CFD(差金決済取引)は、取引価格が対象となる原資産の値動きに基づいて変動します。このため、原資産の動きに関連する価格変動要因を把握することが重要です。例えば、株式を参照したCFDの場合、企業に関するニュースや決算発表が価格に直接影響を与えます。これにより、投資家は企業の業績や市場の反応を通じて価格の動向を予測しやすくなります。
一方で、FX(外国為替証拠金取引)は、政策金利、経済指標、長期金利など、価格変動要因が多岐にわたります。このため、情報収集や分析が複雑になりがちですが、CFDは比較的シンプルな情報収集が可能です。特に、CFDは特定の資産や市場に絞った投資ができるため、価格変動の原因を特定しやすくなります。
また、CFDは取引対象が多様であり、商品、株価指数、外国株式など、様々な資産クラスに投資することができます。各市場の特性や動向を理解することで、投資戦略を練りやすく、より効果的なトレードが実現可能です。
リスクヘッジしやすい
CFD(差金決済取引)は、その豊富な銘柄の選択肢が特徴であり、投資家にとってリスクヘッジの手段として非常に有効です。CFDでは、株式、ETF(上場投資信託)、商品(コモディティ)など、多岐にわたる資産にアクセスできます。これにより、異なる特性を持つ銘柄に投資することで、リスクを効果的に分散することが可能です。
例えば、ある特定の株式に依存する投資戦略は、企業の業績や市場の変動に大きな影響を受けますが、CFDを利用して異なるセクターや地域の株式に同時に投資することで、単一のリスクを軽減できます。また、CFD取引では、外貨建ての銘柄を円換算するものや、円建てで為替レートを意識せずに取引できるものもあり、投資家はより自由な取引環境を選択できます。
さらに、新興国の株価指数や、あまり知られていない海外企業の株式を対象にしたCFDも提供されているため、広範な投資機会を活かしながらポートフォリオ全体のリスクを抑えることが可能です。これらの特徴により、CFDは多様な資産に投資することでリスクヘッジを図りやすく、投資家にとって魅力的な選択肢となるでしょう。リスクを分散し、安定したリターンを目指すための戦略として、CFDは非常に有効な手段であるといえます。
FXの特徴
反対に、FXの特徴として以下の項目が挙げられます。
- 取引が活発になる時間の傾向が決まっている
- ダマシが発生することが多い
それぞれ解説しますので、次に紹介するCFDの特徴との違いを押さえられるようにしましょう。
取引が活発になる時間の傾向が決まっている
FX取引は24時間可能であるため、時間帯によって取引の活発さや市場の動きに大きな差があります。
- 東京市場:日本時間の8時から17時
- ロンドン市場:日本時間の17時から翌2時
- ニューヨーク市場:日本時間の22時から翌5時
まず、東京市場は主にアジアの投資家が参加する時間帯であり、日本時間の8時から17時までが取引の中心です。この時間帯には、特に対円通貨ペア(〇〇/JPY)が活発に取引される傾向があります。特に9時55分前後には仲値が発表されるため、その前後は取引が集中しやすいです。しかし、参加者は限られているため、仲値を除くと比較的小さな値動きに留まることがあります。
次にロンドン市場は、日本時間の17時から翌2時にかけて開かれ、欧州系の通貨ペア(ユーロ、ポンドなど)の取引が盛んになることが特徴です。この時間帯には、政策金利の発表や重要な経済指標の発表が行われるため、値動きが大きくなる傾向があります。また、ロンドン市場は参加者が多いため、流動性も高まり、トレーダーにとって魅力的な取引環境となります。
さらに、ニューヨーク市場は、日本時間の22時から翌5時までの間に活動します。ロンドン市場と重なる時間帯があるため、特に取引量が増加します。この時間帯は、米国の投資家も加わるため一日の中で最も値動きが激しくなることが多く、短期トレードを行うトレーダーにとっては非常に重要な時間帯です。
ダマシが発生することが多い
FX取引においては、相場の状態を大きく分けるとレンジ相場とトレンド相場の二つに分類されます。特にFX市場はレンジ相場が多く見られ、これは一定の価格帯内で上下する動きが特徴です。このような状況下では、トレーダーはポジションを持つタイミングや決済タイミングを見極めやすく、利益を上げるチャンスが生まれます。しかし、レンジ相場では価格の変動幅が限られるため、得られる利益もまた制限されることになります。
一方、レンジ相場が続く中で、価格が一定の範囲を超える「レンジブレイク」の場面もあります。この場合、価格が一方向に急激に動くことがありますが、その後すぐに反対方向へ戻る「ダマシ」が発生することが多いです。ダマシとは、価格が一時的に急騰または急落した後、すぐに元の範囲に戻る現象を指します。このような動きにうまく対応できれば、大きな利益を得ることも可能です。
これらのことから、レンジ相場とトレンド相場では異なる取引手法が求められます。トレーダーは、相場の状況に応じて適切な分析手法やテクニカル分析を駆使し、ダマシに合わないための取引戦略を立てることが重要です。
CFDが向いている・FXが向いているのはどんな人?
ここまで2種類の投資方法を解説しましたが、CFDが向いている人、FXが向いている人とは、それぞれどのような人を指すのでしょうか。
以下より、それぞれについて解説します。
CFDが向いている人
CFD(差金決済取引)は、豊富な銘柄を扱うことができるため、資産運用の一環として長期投資を希望する方に適しています。CFDは現物や先物などの相場とほぼ同等の値動きをするため、特に安定した成長が見込まれる資産に投資したい方には魅力的な選択肢です。
FX取引のスワップポイントを狙った長期保有は新興国通貨に依存しがちですが、CFDを利用することで比較的リスクを抑えた長期保有が可能です。
特に、株価指数CFDは長期的には右肩上がりになる傾向があり、資金に余裕がある場合、勝率も高いとされています。さらに、CFD口座を一つ開設するだけで、世界中の多様な資産にアクセスできる点も大きな魅力です。
FXが向いている人
FX(外国為替証拠金取引)は、基本的に24時間取引が可能なため、日中に時間が取れない方にとって非常に便利です。特に、仕事が終わった後の夜間のみで取引を行う方には最適な選択肢といえます。
また、FXは高いレバレッジを活用できるため、資金効率を重視する方に向いています。
さらに、FX市場はレンジ相場になることが多く、価格が急激に変動することもあります。この特性は短期取引、特にスキャルピングを得意とするトレーダーやテクニカル分析を用いてトレンドを捉えたデイトレードを行う方にとって、大きな利点です。
まとめ
今回は、CFDやFXの特徴、それぞれ向いている人について解説しました。CFDは豊富な銘柄でリスク分散がしやすく、長期投資にも適しています。一方、FXは24時間取引が可能で、高いレバレッジを生かした資金効率を重視する方に向いています。
いずれの投資方法についても、資金を増やしていくためには各市場の特徴を理解し、自身の取引スタイルに合った方法を選ぶことが欠かせません。記事の内容を参考に、安定した資産運用や短期的な利益追求ができるよう、CFDやFXに取り組んでみてはいかがでしょうか。