「ADXの使い方が分からず、いつも相場に翻弄されている」「シンプルな指標だけで勝てるのか不安」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
FXで成功するためには、ADXを正しく活用することや、他のテクニカル指標と併用することが欠かせません。
今回は、ADXの基本的な理解や、具体的な取引戦略について詳しく解説します。
「ADXを使ったトレードで安定した利益を上げる方法を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
FXはADXだけで勝てる?基本情報を確認しよう
まずは、FXにおけるADXの意味を確認しましょう。
ADXとは「トレンドの強さを表す指標」のこと
ADX(Average Directional Movement Index)は、トレンドの強さを測定するためのテクニカル指標です。相場が上昇しているか下降しているかにかかわらず、トレンドの勢いが増すとADXの値は上昇します。
逆に、トレンドが不明確な状態ではADXが低下するため、相場の勢いを把握するのに役立ちます。この指標は、MT4やMT5などの取引プラットフォームで利用でき、トレーダーはこれを使って市場の動向を分析し、エントリーやエグジットのタイミングを見極めることが可能です。
ADXを活用することで、トレンドの強さを理解し、より効果的なトレーディング戦略を構築できるでしょう。
ADXのラインの見方
ADXラインは、トレンドの強弱を示す重要な指標です。このラインは、上昇トレンドや下降トレンドが形成されると共に上昇し、トレンドが活発であることを示します。
特に、ADXの値が20〜30を超えると、トレンドが強くなり、さらなる価格の動きが期待できる状況を表します。しかし、相場が反転してトレンドが不明確になると、ADXの数値は低下し、トレンドの勢いが弱まることを示しています。
ADXを算出する際に使用される移動平均線の種類にも注意が必要です。主に単純移動平均線(SMA)、指数平滑移動平均線(EMA)、修正移動平均線(RMA)の3種類がありますが、チャートツールによって採用される移動平均線が異なるため、自分が使っているプラットフォームの設定を確認し、ADXの動きに合わせたトレード戦略を立てることが重要です。
特に、MT4ではEMAが使用されているため、これを理解した上で分析を行うことが求められます。
セットで使われることが多い「DMI」とは?
DMI(Directional Movement Index)は、日本語で「方向性指数」として知られ、RSIを開発したJ.W.ワイルダー氏によって考案されました。この指標は、トレンド相場においてRSIなどのオシレーター系指標が効果を発揮しにくいという課題を解決するために開発されたものです。
DMIは、主に3本のライン、すなわち+DI(上昇の強さ)、-DI(下降の強さ)、およびADX(トレンドの強さ)を使用して、市場のトレンドの有無やその強さを分析します。
+DIは上昇トレンドの強さを示し、-DIは下降トレンドの強さを示します。ADXはこれらのトレンドの強さを数値化し、トレンドが明確であるかどうかを判断する助けとなります。
DMIを使用することで、トレーダーはトレンドの強弱を把握し、より効果的な取引戦略を構築することが可能です。このように、DMIはADXとともに使われることが多く、相場分析の強力なツールとして位置づけられています。
FXはADX・DMIだけで勝てるのか?
FXトレーダーの中には、ADX・DMIだけで勝ちを積み重ねている人も存在します。
ここでは、実際にトレードしている人のやり方とコツを解説します。
実際にトレードしている人のやり方
ADXとDMIだけを利用してトレードを行うトレーダーの中には、ローソク足やラインチャート、バーチャートといった視覚的な情報を一切見ず、ひたすらADXとDMIの数値に基づいて取引をする人も存在します。
具体的な手法としては、まずDMIを用いて相場の方向性を決定し、その後にADXの上昇具合を観察してエントリーのタイミングを見極めます。
アプローチの一つは、前回のADXの上昇値を参照することです。例えば、前回のADXが40で止まった場合、次にADXが40を超えるまで待ち、そのタイミングでエントリーするという戦略です。この手法は、ADXのブレイクアウトとして理解できます。
また、DMIの開き方にも注目し、上昇トレンド時には+DIが上に、下降トレンド時には-DIが上に位置することを確認します。DMIがしっかりと反対方向に広がっているときにエントリーし、逆方向に開いた場合には決済を行うというスタイルを取っています。このように、ADXとDMIを駆使したトレードは、シンプルながらも効果的な方法といえます。
勝てるかどうかは「指標の使い方次第」
ADXやDMIを用いたトレードが必ず成功するとは限りません。これらの指標が利益を上げるための鍵になるのは、結局のところ使い方にかかっています。DMIやADXを駆使しているトレーダーは、自身の経験やデータを基に独自の手法を確立していることが多く、彼らは単なる数値以上の情報を持っています。
例えば、DMIの数値を損切りやストップロスの設定基準として利用することも可能です。このように、ADXとDMIは柔軟に活用できるため、個々のトレーダーが自分のスタイルに合った方法を模索することが重要です。
効果的なトレードを実現するためには、指標の特性を理解し、自分に合った使い方を研究する姿勢が求められます。最終的には、指標をどう活用するかが成功を左右するのです。自分だけのトレードスタイルを築くための試行錯誤が、勝ちトレードに繋がるでしょう。
DMI・ADXの計算式を4ステップで解説
ここでは、DMI・ADXの計算式を4つのステップで解説します。
- ±DMを算出する
- TRを算出する
- ±DIを算出する
- ADXを算出する
それぞれ見ていきましょう。
DMI・ADXの計算方法ステップ1:±DMを算出する
DMIを計算するための第一歩は、±DM(上昇幅と下落幅)を求めることです。具体的には、次のように算出します。まず、+DMは当日の高値から前日の高値を引いた値で求めます。一方、-DMは前日の安値から当日の安値を引いた値です。
計算式は基本的に以下の通りですが、特定の条件に注意が必要です。もし+DMが0未満の場合は+DMを0とし、-DMも同様に0未満であれば-DMを0とします。
また、+DMが-DMより大きい場合は-DMを0にし、逆に-DMが+DMより大きい場合は+DMを0に設定します。これにより、正確なトレンドの強弱を示す基礎データが得られます。
DMI・ADXの計算方法ステップ2:TRを算出する
次のステップでは、1日の最大値動きを示すTR(True Range)を計算します。TRを求めるためには、以下の3つの値を算出します。まず、当日の高値から前日の終値を引いた値、次に前日の終値から当日の安値を引いた値、最後に当日の高値と安値の差を求めます。
これらの値の中で最も大きいものがTRとなり、トレンドのボラティリティを把握する重要な指標として機能します。TRを正しく算出することで、その後のDMIおよびADXの計算に必要な基礎データを得ることができます。
DMI・ADXの計算方法ステップ3:±DIを算出する
さらに次のステップでは、1日の最大値動きを示すTR(True Range)を計算します。TRを求めるためには、以下の3つの値を算出します。まず、当日の高値から前日の終値を引いた値、次に前日の終値から当日の安値を引いた値、最後に当日の高値と安値の差を求めます。
これらの値の中で最も大きいものがTRとなり、トレンドのボラティリティを把握する重要な指標として機能します。TRを正しく算出することで、その後のDMIおよびADXの計算に必要な基礎データを得ることができます。
DMI・ADXの計算方法ステップ4:ADXを算出する
最後のステップでは、ADXを計算します。まず、DXを求めることでトレンドの強さを評価します。DXの計算式は、(+DI)と(-DI)の差をその合計で割り、100を掛けるというものです。
具体的には、DX = {(+DI) – (-DI)} ÷ {(+DI) + (-DI)} × 100 という式になります。このDXの値を用いて、ADXを算出します。ADXは、DXの一定期間にわたる移動平均として求められ、トレンドの強さを把握するのに役立ちます。計算式はやや複雑ですが、トレンドの変動を理解するために、各値がどのように影響し合うかを把握しておくことが重要です。
FXはADXだけで勝てる?DMI・ADXを使ったトレード手法3選
ここでは、DMI・ADXを使ったトレード手法について、以下の3つを取り上げます。
- DIのゴールデンクロスを狙う
- DMIのダイバージェンスを狙う
- 改良版である「ADXm」を使うのも方法の一つ
それぞれ解説します。
DIのゴールデンクロスを狙う
DIのゴールデンクロスは、トレンドの転換点を見極めるための重要なシグナルです。具体的には、+DIが-DIを上抜けることで上昇トレンドの開始が示唆され、一方で-DIが+DIを上抜けると下降トレンドの兆しとなります。
しかし、ゴールデンクロスが発生した際、ADXがまだ低い位置にあることが多く、単独ではトレンドの確実性が低いため、他のインジケーターや市場の動向を考慮することが推奨されます。
特にレンジ相場では、DIが頻繁にゴールデンクロスを示すことがありますが、これらのシグナルはしばしば誤った動きを引き起こすことがあります。このため、トレンドが明確に形成されていると確認できるまで、慎重なアプローチが必要です。
さらに、ADKが上昇するのはトレンドが始まってからしばらく経ってからであるため、DMIを中心とした戦略はトレンドの中盤から終盤で利益を狙うのに適しているといえるでしょう。
DMIのダイバージェンスを狙う
DMIのダイバージェンスは、トレンドが続いているにもかかわらず、DIやADXが下降する現象であり、トレンドの終了を示す重要なサインです。この状況は、価格が上昇している中で売り圧力が増大していることを意味し、買い圧力がそれに負けた瞬間にトレンドの転換が起こります。
特に、ダイバージェンスが確認されるポイントが重要なレジスタンスラインに近い場合、大きな下落を狙うチャンスです。例えば、ダイバージェンスを認識した後に小さなロットでナンピンを行い、価格が下落した際に利益確定する戦略は効果的です。
ただし、ダイバージェンスが発生しても、買い圧力が戻ってさらなる上昇を見せる可能性があるため、あらかじめ損切りの基準を設定しておくことが重要です。このように、ダイバージェンスを利用したトレードはリスクとリターンを考慮しながら行うことで、成功の確率を高めることができます。
改良版である「ADXm」を使うのも方法の一つ
DMI・ADXの改良版として注目されるのが、カスタムインジケーター「ADXm」です。このインジケーターは、多くの自動売買ツールクリエイターによって開発され、利用者に便利な機能を提供しています。
ADXmでは、ADXのラインが視覚的に分かりやすく示されており、+DIが-DIより上にあるときは青色、逆に-DIが上にあるときはオレンジ色で表示されます。
通常のDMIでは3つのラインが交差するため、ゴールデンクロスの判断が難しいことがありますが、ADXmは色によって相場状況を直感的に把握できるため、非常に便利です。また、ADXmはMT5やMT4、TradingViewなどさまざまなプラットフォームで利用できるため、トレーダーは自分に合った環境で活用できます。
このように、ADXmを活用することで、より効率的なトレードが可能になり、戦略の幅が広がるでしょう。特にトレンドの見極めが重要な場面では、この改良版が頼りになります。
まとめ
今回は、FXはADXだけで勝てるのかどうか、よく一緒に使われる指標の「DMI」と合わせて、具体的な計算式やトレード手法について、解説しました。
記事で紹介したDMI・ADXを使った3つのトレード手法を参考にしながら、相場状況や自身のトレードスタイルに合わせて適切なタイミングでエントリーポイントを探してみましょう。