FXトレーダーの中には「トレンドを見極める方法がわからない」「相場の転換点をうまく捉えたい」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
相場分析の精度を高める方法の一つに、アリゲーター指標を活用した手法があります。
今回は、アリゲーターの基本的な概要や売買のタイミング、指標の設定方法などについて解説します。おすすめのインジケーターも紹介しますので、「効率的にトレンドを見極める方法を知りたい」「アリゲーターを使った実践的な手法を学びたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
FXにおけるアリゲーターとは?
アリゲーターは、著名な投資家ビル・ウィリアムズが考案したトレンドフォロー型の指標です。この指標は、市場がトレンドを形成している時間が全体の15%から30%程度であるという考え方をもとに設計されています。
多くの時間帯では市場が横ばいで推移しており、アリゲーターはその中でトレンドが発生しているタイミングを見極めるために活用されます。
アリゲーターは、ワニの顎、歯、唇を表す3色の移動平均線で構成されており、それぞれが市場の動きを視覚的に表現します。
- 顎(青色):8目盛り分を未来方向(右方向)にシフトした13期間の平滑移動平均
- 歯(黄色):5目盛り分を未来方向(右方向)にシフトした8期間の平滑移動平均
- 口(赤色):3目盛り分を未来方向(右方向)にシフトした5期間の平滑移動平均
なお、アリゲーターはトレンド発生時に特に効果を発揮しますが、横ばい相場では利用を避けるべきとされています。
このシンプルな構造と分かりやすさから、多くのトレーダーに支持されている手法の一つです。アリゲーターを使えば、トレンドの方向性やエントリーポイントを簡単に判断しやすいでしょう。
FXにおけるアリゲーターの売買タイミングは主に2つ
FXにおけるアリゲーターを使った売買タイミングは、主に以下の2つがあります。
- ワニが口を閉じているとき
- ワニが口を開けているとき
それぞれについて解説します。
ワニが口を閉じているとき
アリゲーターが「口を閉じている」状態とは、3本の移動平均線が横ばいになり、互いに絡み合っている状況を指します。この状態は市場がトレンドレスであることを示しており、上昇トレンドや下降トレンドが発生していないため、取引のチャンスが少ないタイミングといえます。
このような場面では、無理にポジションを持つよりも様子を見守ることが重要です。トレンドが形成される兆しが見えた段階でエントリーを検討する方が、効率的にリスクを管理できます。
アリゲーターが眠っている間は、相場が次の動きに向けてエネルギーを蓄えていると考え、冷静に市場を観察することが成功の鍵です。
ワニが口を開けているとき
アリゲーターが「口を開けている」状態は、3本の移動平均線が同じ方向を向き、トレンドが明確に発生している状況を指します。このとき、各ラインの順序がトレンドの種類を示します。
例えば、緑線(唇)、赤線(歯)、青線(顎)の順で上から並んでいる場合、市場は上昇トレンドにあります。一方で、青線、赤線、緑線の順に並んでいる場合は下降トレンドが発生していることを意味します。
この状態では、トレンドに乗ったエントリーが有効です。上昇トレンドなら買い、下降トレンドなら売りのポジションを検討しましょう。アリゲーターが「目を覚まし、口を開けている」タイミングは、相場の動きが勢いを増している証拠であり、利益を狙う絶好のチャンスといえます。
アリゲーター指標の設定方法
ここでは、トレード環境にアリゲーター指標を設定する方法を以下の3ステップで解説します。
- トレーディングプラットフォームで表示する
- パラメータを設定する
- ビジュアルをカスタマイズする
それぞれ見ていきましょう。
トレーディングプラットフォームで表示する
アリゲーター指標は、多くのトレーディングプラットフォームで標準装備されています。代表的なプラットフォームのMetaTrader 4や5などでも設定可能です。
また、設定は簡単で、プラットフォーム内の「インジケーター」または「テクニカル分析」のメニューを開き、一覧の中から「アリゲーター」または「Alligator」を選択するだけです。
選択後、必要に応じてパラメーターを調整することで、自分のトレードスタイルに最適な設定にカスタマイズできます。初心者にも分かりやすく設計されているため、すぐに利用を開始できるでしょう。
パラメータを設定する
アリゲーター指標の設定では、ジョーズ(Jaws)、ティース(Teeth)、リップス(Lips)と呼ばれる3本の移動平均線のパラメータを調整することが重要です。標準設定では、ジョーズが13期間、ティースが8期間、リップスが5期間に設定されていますが、これが最適かどうかは市場の状況やトレードスタイルによって異なります。
例えば、短期的な値動きを捉えたい場合は、期間を短く設定することで敏感に反応させることができます。一方で、長期的なトレンドを重視する場合は、期間を長めに設定すると有効です。自身のトレード環境に合わせて柔軟にカスタマイズすることで、自分の戦略に最適なアリゲーター指標を活用できます。
ビジュアルをカスタマイズする
アリゲーター指標の各移動平均線は、一般的に異なる色で表示され、瞬時に識別できるよう設計されています。ジョーズ、ティース、リップスの線が何を示しているかを明確にするため、瞬時に見分けられる色に設定しておくことが重要です。
さらに、多くのトレーディングプラットフォームでは、線の色だけでなく、太さやタイプ(実線、点線、破線など)も自由にカスタマイズできます。これにより、自分の視覚的な好みや分析のしやすさに合わせた設定が可能です。
特に複数の指標を併用する場合、ビジュアルの調整は分析の効率を向上させる重要な要素となります。
FXでアリゲーターとの組み合わせがおすすめなインジケーター
ここでは、FXトレードにおいてアリゲーターとの組み合わせがおすすめなインジケーターとして、以下の5つを紹介します。
- Fractals
- オーサムオシレーター(AO)
- 移動平均線
- RSI
- MACD
それぞれのインジケーターについて特徴を見ていきましょう。
Fractals
Fractals(フラクタル)は、著名な投資家ビル・ウィリアムズ氏によって考案されたテクニカル指標で、トレンドの転換点を見極めるのに役立つ便利なツールです。フラクタルはチャート上に山(高値)と谷(安値)を示し、視覚的に価格の反転ポイントを把握するのに適しています。
特に、水平線やトレンドラインの基準としてフラクタルを利用することで、エントリーやエグジットのタイミングを明確にできます。たとえば、フラクタルを基に水平線を引き、ロールリバーサルを狙ったトレード戦略を組み立てることが可能です。また、エリオット波動のカウントにも役立ち、1波から5波までを視覚化するのに活用されます。
さらに、フラクタルシグナルを用いたエントリー手法も有名です。最初に形成されたフラクタル(フラクタルスタート)と、反対側に現れるフラクタル(フラクタルシグナル)を組み合わせることで、ブレイクアウト方向へのトレード判断がしやすくなります。このようにフラクタルは、多角的な視点からトレードの精度を高めるための重要なツールといえるでしょう。
オーサムオシレーター(AO)
オーサムオシレーター(AO)もビル・ウィリアムズ氏が開発したオシレーター系インジケーターで、値動きのトレンドや勢いを視覚的に捉えるためのツールです。この指標は2本の移動平均線を利用しており、トレンドの開始点や終了点、またその強弱や転換を判断するのに役立ちます。グラフがゼロラインを上回ると上昇トレンド、下回ると下降トレンドを示し、緑の棒が上昇、赤の棒が下降を表します。グラフの長さが長いほど、トレンドの勢いが強いことを意味します。
AOはシンプルな構造ながら、トレンドの強弱や転換点を判断するための多くの情報を提供します。ゼロラインを基準に、上回っている場合は買いエントリー、下回っている場合は売りエントリーが基本です。しかし、ゼロライン付近を行き来する際は相場がレンジ状態にある可能性が高いため、ポジションを取るのは控えるべきといえるでしょう。
また、ダイバージェンス(チャートとオシレーターの動きが逆行する現象)を見つけることで、相場転換の兆しを察知することも可能です。オーサムオシレーターは、トレンド追随だけでなく転換点の見極めにも活用できる便利なインジケーターです。
移動平均線
移動平均線は、一定期間の価格の終値を平均化したテクニカル指標で、初心者から上級者まで幅広く利用されています。移動平均線は、価格の動きを平滑化してトレンドを把握しやすくするツールであり、特にアリゲーターとの組み合わせで効果を発揮します。
おすすめは、100日や200日といった長期間の移動平均線をフィルターとして活用する方法です。例えば、ローソク足が長期移動平均線より上にあり、アリゲーターがパーフェクトオーダーを形成して上昇トレンドを示している場合、買いエントリーの好機といえます。逆に、ローソク足が長期移動平均線より下に位置し、アリゲーターが口を開けて下降トレンドを示している場合は、売りエントリーの判断材料となります。
移動平均線は、トレンドの方向性やエントリーポイントを明確にするだけでなく、アリゲーターとの併用により、相場の強い方向性をより確実に見極める上で役立つ便利な指標です。
RSI
RSI(相対力指数)は、相場が過買い(オーバーバウト)または過剰売り(オーバーソールド)状態にあるかを示すインジケーターです。アリゲーター指標でトレンドの方向性を確認した後、RSIを併用することで、そのトレンドの強さや反転の兆候をさらに深く理解することができます。
RSIが70以上の場合は過熱した上昇相場を、30以下の場合は過剰に売られた状態を示します。この情報をアリゲーター指標のトレンド分析と組み合わせることで、より精度の高いエントリーポイントを見つけられます。
例えば、アリゲーター指標が上昇トレンドを示しているときにRSIが70を超えた場合、その上昇は過熱している可能性が高く、売りのタイミングを考えるべきです。逆に、RSIが30未満で過剰に売られているときは、アリゲーターが上昇トレンドを示す場面で、反転の兆しとして買いエントリーを検討する価値があります。RSIはトレンドの過熱感や反転ポイントを把握する強力なツールとなります。
MACD
MACD(移動平均収束発散オシレーター)は、アリゲーターと組み合わせて使用することで、トレンドの強さやモメンタムの変化をより正確に捉えられます。MACDは、価格の動きと市場の勢いを視覚的に示すツールであり、特にトレンドの転換点を見極めるのに有効です。
アリゲーターが示すトレンドの方向性を確認した後、MACDを使用することで、トレンドの勢いを「第二の視点」として捉えることができます。MACDがゼロラインを上下に越える際には、特に注意が必要です。このシグナルは、トレンドの変化や勢いの変動を示すものとして、エントリーや決済のタイミングを見極める上で重要な手がかりになります。
例えば、MACDヒストグラムがゼロラインを超え、アリゲーターの移動平均線が上昇を始めると、上昇トレンドが強まったサインとして捉え、買いエントリーを検討できるでしょう。一方、勢いが弱まり、MACDヒストグラムが縮小するタイミングでは、トレードの終了やストップロスの調整を考えることが望ましいです。
MACDとアリゲーターの連動を確認しながら取引を行うことで、トレンドの転換点を効率的にキャッチできるでしょう。
まとめ
今回は、FXにおけるアリゲーターの概要やアリゲーターを使った手法について解説しました。
アリゲーターにおける売買のタイミングは「ワニが口を閉じているとき」「ワニが口を開けているとき」の2パターンとシンプルであるため、上手に活用することで効率的にトレードを進められるでしょう。
記事で紹介した相性の良いインジケーターを組み合わせながら、アリゲーター手法を活用したトレードに挑戦してみてはいかがでしょうか。