「FXのチャートの見方が分からない」「FXのチャートの見方はわかったが、どう活用していくべきか分からない」という初心者FXトレーダーの方は多いのではないでしょうか。
今回は、FXのチャートとはなんなのかといった基本を解説した後、チャートの基本の見方や併せて活用したい分析手法などを紹介します。
FXトレーダーとして基礎的な知識を身につけ、効果的なチャートの見方を押さえたい方はぜひ参考にしてください。
FXのチャートとは?
FXのチャートは過去の価格変動をグラフにしたもので、売買判断において重要な要素となります。外国為替市場では、ドルやユーロ、円などさまざまな通貨が取引され、世界中でほぼ24時間取引されています。これにより通貨の需給に応じて価格が変動する仕組みです。
価格は毎秒何度も変化し、その変化を時系列に沿って記録したものが為替チャートです。
代表的なFXのチャートとして、以下があります。
- ローソク足
- バーチャート
- ラインチャート
それぞれについて解説しますので、基本的なチャートの見方や考え方を掴みましょう。
種類1:ローソク足
ローソク足チャートは、一定期間の始値、安値、高値、終値をひとつの線で描いたものです。このチャートはFXトレーダーの間で広く利用され、世界的に人気があります。
各ローソク足の始値と終値の間に描かれる長方形を「実体」と呼び、実体が上部に位置するローソク足はその期間の終値が始値より高かったこと、つまり価格の上昇を示唆します。反対に、実体が下部にある場合は終値が始値より低かったことを示し、価格の下落を意味します。
また、実体の上下に伸びる細い線は「影」と呼ばれ、その期間の価格の最高値と最安値を示します。ローソク足チャートは、視覚的に価格の動向を把握しやすく、トレンドや相場の転換点を見極めるのに役立つでしょう。
種類2:バーチャート
バーチャートは、ローソク足と同じように1本のバーで始値、終値、安値、高値の4本値を示すものです。
ローソク足との主な違いは、実体と呼ばれる四角形が存在しないことで、バーチャートでは、縦線の上端がその期間の高値を表し、下端が安値を表します。そして、縦線の左側に位置する横線が始値を、右側に位置する横線が終値を示しています。
ローソク足が実体の色で陽線・陰線を判断するのに対し、バーチャートでは始値と終値の位置関係で判断します。バーチャートはそのシンプルさが特徴であり、主に欧米のトレーダーの間で広く愛用されています。
種類3:ラインチャート
ラインチャートは、終値のみを示すシンプルなチャートです。情報量は他のチャートに比べて少ないものの、素早く相場を把握する上で役立ちます。
具体的な活用方法として、チャート上にサポートラインやレジスタンスラインを引く方法があります。ラインチャートでは、終値のみを表示するため、サポートラインやレジスタンスラインを引く際に非常に使いやすいです。
また、チャート上でのトレンドラインの引き方が一目で理解できるため、相場の方向性を把握しやすくなります。ラインチャートはその単純さと使いやすさから、特に初心者トレーダーやトレンドを重視するトレーダーに好まれているチャートの一つです。
【初心者必見】FXチャートの基本の見方を徹底解説
ここでは、FX初心者が知っておくべきFXチャートの見方について、以下の3つを紹介します。
- 縦軸と横軸の見方
- トレンドラインの見方
- 3つのトレンドの見方
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
縦軸と横軸の見方
チャートを開いた時に表示される縦軸と横軸のうち、縦軸は価格、横軸は時間を表すものです。この2軸を使うことで、時間の経過に伴う価格の変動を簡単に把握できます。
チャートにはさまざまな時間軸があり、例えば、「分足」や「5分足」は短期間の値動きを見るのに適しています。これに対して、「日足」「週足」「月足」「年足」は長期間の値動きを確認するのに便利です。
初心者の場合、まずは長期間の値動きを確認し、少しずつ短期的な値動きを掴めるように取り組むのがおすすめです。最終的には自分の取引する時間軸を確認できるようになることで、相場の理解が深まり、より正確な相場認識が可能となるでしょう。
トレンドラインの見方
トレンドラインは、相場の方向性を把握するためにチャート上に引かれる線のことです。
FX相場には、トレンド相場とレンジ相場の2つのタイプの相場があり、FX相場ではレンジ相場の方が多い傾向にあります。しかし、トレンド相場が発生すると持続する可能性があり、トレンド相場に乗れれば大きな利益が期待できます。
FXチャートで使うトレンドラインには、以下の2つがあります。
- サポートライン(下値支持線)
- レジスタンスライン(上値抵抗線)
以下より、それぞれのラインの見方を解説します。
サポートライン(下値支持線)
サポートラインは、相場の下値を支える重要なラインです。主に上昇トレンドを分析する際に使用され、安値と安値を結んでラインを引きます。
チャート上に描かれたサポートラインでは、価格がそのラインに近づくと下落が和らぐ傾向があります。このため、一般的にはサポートライン付近で買いを仕掛けることが一般的です。
ただし、価格がサポートラインを突破すると下降トレンドが発生し、さらなる下落が発生する可能性があるため、慎重に対処する必要があります。サポートラインはトレンド転換点やエントリーポイントを見極める上で重要な役割を果たします。
レジスタンスライン(上値抵抗線)
レジスタンスラインは、相場の上値を抑える重要なラインです。主に下降トレンドを分析する際に使用され、高値と高値を結んでラインを引きます。
チャート上でレジスタンスラインが描かれると、価格がそのラインに近づくと上昇が収まることが予想されるため、レジスタンスライン付近で売りを仕掛けることが一般的です。
しかし、価格がレジスタンスラインを突破すると上昇トレンドが発生し、さらに価格上昇が起きる可能性があります。そのため、さまざまな要素を含めて慎重に判断することが欠かせません。
3つのトレンドの見方
FX相場には、以下3つのトレンドがあります。
- 上昇トレンド
- 下降トレンド
- 横ばい
上昇トレンドは価格が右肩上がりで持続的に上昇する状態を指し、下降トレンドは右肩下がりで価格が持続的に下落する状態を示します。また、横ばいとは、価格が一定の範囲内で上下に動く状態であり、上昇や下降トレンドに切り替わる前の転換期のことです。
横ばいの場合、上昇や下降トレンドに切り替わるタイミングを見極めることが欠かせません。一般的に、上昇や下降トレンドの相場は全体の2割を占め、横ばいのレンジ相場が8割を占めるとされています。
このようなトレンドの見方を理解することで相場の方向性を把握し、取引の方針を立てる際に役立てられるでしょう。
FXのチャートから出来高を見ることはできない
FXの取引量を示す出来高は、株式などの取引所取引で重要な情報とされていますが、FXのチャートでは出来高を確認することはできません。株式市場と異なり、為替市場では相対取引が行われ、取引の全容を把握することが難しいためです。
一部の取引所では売買比率を利用して、ポジションの傾向や取引参加者の動向を推測することは可能ですが、これは当該証券会社や業者内の売買比率に限られます。
なお、FXのチャートから直接的に出来高を読み取ることはできませんが、売買比率などを活用して市場の傾向を把握することは可能です。
FXチャートの見方と合わせて活用すべき4種類のテクニカル分析
ここでは、FXチャートの見方と合わせて活用したい、以下4種類のテクニカル分析を紹介します。
- 移動平均線
- ボリンジャーバンド
- MACD
- RSI
テクニカル分析とは、過去の市場の値動きから将来を予測するための分析方法です。テクニカル分析はFXの勝率を高めていく上で欠かせません。
以下より、それぞれについて内容を見ていきましょう。
移動平均線
移動平均線は、一定期間の終値を平均した値を曲線で表したもので、主に5日間や20日間、または21日間の期間が使われます。トレンド系のインジケーターに分類され、相場のトレンドを分析する際に利用されています。
移動平均線の向きが上向きであれば上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドと判断され、その角度が急であるほど、トレンドの強さが示されます。短期線・中期線・長期線の3つの移動平均線を同時に表示させて使うのが基本です。
さらに、移動平均線を使った売買サインとして、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」があります。
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が中期の移動平均線を下から上に突き抜ける現象を指し、これは買いのシグナルと見なされます。このクロスが発生すると、相場が上昇トレンドに転換する可能性が高いと考えられるでしょう。
一方、デッドクロスはその逆で、短期の移動平均線が中期の移動平均線を上から下に突き抜ける現象を指します。これは売りのシグナルとされ、相場が下降トレンドに転換する可能性が高いと見なされます。
ゴールデンクロスとデッドクロスは、トレンド転換のタイミングを示す重要な指標であり、トレーダーにとっては注目すべきポイントです。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、単純移動平均線(SMA)を中心に標準偏差(σ:シグマ)をバンド上に表示させて使うインジケーターです。トレンド系のインジケーターに属し、主に相場のトレンドやその強弱を分析するのに利用されます。
標準偏差はデータ(終値)が平均値からどの程度ばらつくかを示し、移動平均線からの乖離が大きければ標準偏差も大きくなる仕組みです。つまり、ボリンジャーバンドのバンドが拡大すると取引量が活発化し、収縮すると取引量が落ち着いていることが示されます。
以下の標準偏差に基づく確率によれば、ほとんどの場合、価格は±3σ以内内に収まります。
- ±1σ(シグマ):68.2%
- ±2σ(シグマ):95.4%
- ±3σ(シグマ):99%
ボリンジャーバンドを使う場合、一般的には±3σまでを表示します。
MACD
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、MACD線、シグナル線、およびヒストグラム(棒グラフ)を描画し、サブチャートに表示されるインジケーターです。オシレーター系に分類されるものの、トレンドの転換点を予測して売買タイミングを分析する目的で多く用いられます。
MACDの売買サインには「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」の2種類があります。ゴールデンクロスが発生すれば買いのシグナル、デッドクロスが発生すれば売りのシグナルと判断されます。
MACDは価格の動向とその変化率を示すことで、トレンドの転換点を探るのに活用できます。
RSI
RSI(Relative Strength Index、相対力指数)は、0%から100%の範囲内に描画されるラインを持ち、サブチャートに表示されるオシレーター系のインジケーターで、主に相場の売られすぎや買われすぎの分析に利用されます。
具体的には、RSIのラインが30%以下であれば売られすぎ、70%以上であれば買われすぎと判断されます。したがって、RSIのラインが30%以下であれば買い、70%以上であれば売りのポジションを検討することが可能です。
この指標を活用することで、相場の強さや弱さを相対的に把握し、売買のタイミングを見極めることができます。ただし、RSIだけに依存せず、他のテクニカル指標やファンダメンタル分析と組み合わせて総合的な分析を行うことが重要です。
まとめ
今回は、FXにおけるチャートの見方について、基本的なチャートの種類と合わせて解説しました。FX初心者にとって聞きなれない単語が多いかもしれませんが、最低限「縦軸と横軸の見方」「トレンドラインの見方」「3つのトレンドの見方」を押さえておくことで、相場を見たときにさまざまな情報をキャッチできるようになるでしょう。
また、チャートを見て売り買いを判断する上で欠かせない、テクニカル分析についても解説しました。テクニカル分析は絶対的な正解を示すものではありませんが、FXにおける判断基準の1つとして役立ちます。
記事で紹介したポイントを参考にしながら、FXでの取引に挑戦してみてください。