FXにおける約定力とは？重要な理由や業者選びのポイントを解説

「FXで注文がなかなか約定しない」「取引タイミングがズレて損失が出てしまう」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。スムーズな取引を行うためには、約定力の高いFX業者を選ぶことや、自分の取引スタイルに合った環境を整えることが欠かせません。

今回は、FXにおける約定力の重要性や、約定力を高めるためのポイントについて詳しく解説します。「取引の精度を上げたい」「よりスムーズに利益を狙いたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

FXの約定力とは？

FXにおける約定力とは、注文が成立する際のパフォーマンスを指し、その取引の正確さとスピードによって約定力が評価されます。理想的な約定力は、希望した価格で迅速に取引が成立することで、これによりスリッページなどのリスクが軽減されます。

しかし、海外FX業者を選ぶ際、多くのトレーダーはボーナスや高レバレッジを重視するあまり、約定力の重要性を見落としがちです。安定した取引環境を求めるのであれば、約定力も重要な判断基準として意識することが大切です。

FXにおいて約定力が低いとどうなるのか

FXにおいて約定力が低いと、取引にさまざまなリスクが伴います。特に、相場が急激に変動する際、FX業者のシステムに注文が集中するとサーバーに負荷がかかり、スリッページやリクオート、さらには約定拒否が発生する可能性があります。

スリッページとは、注文した価格と実際の約定価格にズレが生じる現象です。このズレにより、想定外の損失を被ることがあります。

また、リクオートは、相場変動が激しい場合にレートの再提示が行われ、再度注文を出す必要がある状態を指します。約定拒否は、取引自体が成立せず、ポジションの損切りや利益確定ができなくなることです。

さらに、サーバーダウンが発生するとログインすらできず、含み損が拡大してロスカットされるケースもあります。これらの問題を避けるためには、多少のスリッページがあっても約定できる業者を選ぶことが重要です。

FXで約定力が求められる理由

FXで約定力が求められる理由として、以下の2つが挙げられます。

それぞれについて解説します。

利益を確保するため

利益を確保するために、約定力は非常に重要です。

例えば、米ドル円を100.100円で買い、100.200円で利益確定する予定だとしましょう。この場合、通常であれば0.1円の利益が見込まれます。しかし、スリッページが発生し購入価格が100.105円になると、同じ100.200円で売却しても利益は0.095円に減少してしまいます。

一見わずかな差に思えますが、取引回数が増えたり取引量が多くなったりするほど、このスリッページによる影響は大きくなり、結果的に総利益が大幅に減ってしまうでしょう。したがって、利益を最大限に確保するためには、約定力の高い業者を選ぶことが重要です。

大きな損失を避けるため

大きな損失を避けるためにも、約定力は欠かせません。

例えば、1米ドル円を100.000円で購入し、損失を1万円に抑えるために99.000円で損切り注文を出したとします。ここで約定力が低いとスリッページが発生し、実際に約定される価格が98.990円になることがあります。

この場合、損失は1万円を超えてしまい、予想以上の損失が発生してしまうでしょう。さらに、約定拒否が起こると損切り自体が成立せず、相場の急落に気づかないまま大きな損失に繋がる危険性もあります。

約定力の高い業者を選ぶことで、このようなリスクを軽減できます。

FXの約定力についてよくある間違い

FXの約定力を考える上で勘違いされやすい項目として、以下の3つを解説します。

それぞれのポイントを確認し、正しく約定力について理解しましょう。

約定スピードとスリッページは異なるものである

FXの約定力について誤解されやすい点の一つが、「約定スピード」と「スリッページ」の違いです。約定スピードは、トレーダーが注文を出してから実際に約定するまでの時間を測定したもので、通常はミリ秒（ms）単位で表されます。多くの海外FX業者では、約定スピードが0.5秒以内であることが一般的です。

一方で、スリッページは価格の変動幅を示す指標で、通常は「pips」として表現されます。注文した価格と実際に約定した価格の差を基に計算され、0pipsであれば理想的な約定がなされたことになります。

このように、約定スピードは時間に関する指標であり、スリッページは価格変動に関する指標です。約定スピードが遅くなるとスリッページが発生しやすくなるものの、両者は異なる概念であるため、混同しないよう注意が必要です。

通貨ペアによって約定のしやすさがある

FX取引において、通貨ペアによって約定のしやすさは大きく異なります。特に、取引量の多いメジャー通貨ペアは、流動性が高いため約定力が優れています。メジャー通貨ペアは市場での取引が活発であり、スプレッドも狭く、トレーダーにとって有利な取引環境を提供します。

一方で、マイナー通貨ペアやエキゾチック通貨ペアは取引量が少なく、これに伴い約定力が低下する傾向があります。具体的には、マイナー通貨ペアでは約定が遅れることがあり、エキゾチック通貨ペアではスプレッドが広くなる傾向にあります。

したがって、取引を行う際には選ぶ通貨ペアによる影響を考慮し、特に約定力やスプレッドに注目することが重要です。トレーダーは、流動性の高いメジャー通貨ペアを選ぶことで、よりスムーズな取引を実現できるでしょう。

約定力は取引の時間によって異なる

約定力は、取引が行われる時間帯によって大きく変化します。特に、市場の流動性が低下する時間帯では、約定力も影響を受けやすくなります。たとえば、日本時間の早朝はニューヨーク市場が閉じ、東京市場がまだ開いていないため、この時間帯はトレーダーの注文が少なく、流動性が低下します。この結果、約定力が弱まることが多いです。

さらに、海外FX業者ではロールオーバー処理のために、日付変更時に取引が一時的に停止されることがあります。この数分間は注文が約定しにくく、特にロールオーバー直前や直後の時間帯では約定力が低下する傾向があります。そのため、取引を行う際には、流動性が高く約定力が強い時間帯を選ぶことが重要です。

これにより、よりスムーズな取引が可能となり、意図した価格での約定が実現しやすくなります。

約定力の高いFX業者を選ぶ2つのメリット

約定力の高いFX業者を選ぶメリットとして、以下の2つが挙げられます。

それぞれ見ていきましょう。

相場が急変しても約定拒否されにくい

相場が急変しても約定拒否されにくいことは、約定力の高いFX業者を選ぶ際の大きなメリットです。相場の急激な動きがあると損切り注文が成立しないリスクが高まりますが、約定力の強い業者ではその可能性が低くなります。このため、トレーダーは安心して取引に臨めるでしょう。

もし約定力を公表していないFX業者を利用する場合、許容スリッページを広く設定することが推奨されます。許容スリッページとは、どのくらいのpipsまでのスリッページを許容するかという基準で、これを広げることで急変時の約定の可能性が高まります。

スキャルピングで利益を増やしやすい

スキャルピングでは、短時間で多くの取引を繰り返し、0.1pips単位の小さな利益を狙います。この手法は取引回数が非常に多いため、スリッページが発生すると利益が大きく減少する可能性があります。したがって、スキャルピングを成功させるためには、約定力の高いFX業者を選ぶことが不可欠です。

約定力が強い業者では、瞬時に注文が成立しやすく、スリッページのリスクが低減します。これにより、小さな利益を積み重ねやすくなり、トレード全体の収益性が向上します。

逆に、約定力が低い業者を選んでしまうと、思った通りの価格で注文が通らず、利益を確保するのが難しくなるため注意が必要です。

国内FXと海外FXで約定力が違う

FXにおける約定力は、国内のFX業者と海外のFX業者で異なります。ここでは、以下4つの違いについて解説します。

約定力について特徴を掴み、自身のトレードスタイルに合ったFX業者を選びましょう。

約定率

国内FXと海外FXの約定力において、特に注目すべきなのは約定率です。

国内FX業者は一般的にDD（ディーリング・デスク）方式を採用しています。この方式では、顧客の注文が業者のディーラーによって処理されるため、ディーラーにとって不利な条件の注文は拒否される可能性があります。この結果、約定率が一貫しないことが多く、特に急激な相場変動がある際には、約定されないリスクが高まります。

対照的に、海外FXではNDD（ノン・ディーリング・デスク）方式が主流です。この方式では、顧客の注文がインターバンク市場に直接流れて自動的にマッチングされるため、約定拒否は基本的に発生しません。これにより、トレーダーはより高い約定率を享受でき、安心して取引を進められるでしょう。

しかし、市場の流動性が低い時間帯では、マッチングされる注文が減少するため、スリッページが発生するリスクがある点は注意が必要です。

取引方式

国内FXと海外FXの約定力において、異なるな要素の一つが取引方式です。

海外FX業者はNDD（ノン・ディーリング・デスク）方式を採用しており、トレーダーはインターバンク市場と直接取引を行います。この仕組みにより、業者の利益はスプレッドや手数料から生まれ、取引の透明性が高くなります。トレーダーが利益を上げるほど、業者も利益を得るため、利害関係が一致しています。

一方で、国内FXはDD（ディーリング・デスク）方式を採用し、トレーダーは業者のディーラーを相手に取引する仕組みです。このため、トレーダーの損失が直接業者の利益につながります。この構図は、トレーダーが不利な条件で取引を強いられやすく、約定拒否やスリッページが発生しやすくなる要因となります。

つまり、国内FXでは業者側の利益を優先するため、約定力が劣ることが少なくありません。

利益へのつながりやすさ

利益へのつながりやすさは、海外FXと国内FXの約定力の重要な違いの一つです。特に海外FXはスキャルピングが許可されており、短時間の取引を繰り返すことでわずかな価格変動から利益を得ることが可能です。このスタイルでは、数pipsの差が利益に直結するため、約定力の高さが求められます。

しかし、海外FXではスプレッドが変動制であるため、提示されるスプレッドはリアルタイムで変わります。この特性は、トレーダーにとって有利な価格で約定することが利益を上げるためのカギとなります。狙った価格でスムーズに約定させることができれば、利益を最大化できるチャンスが広がるでしょう。

逆に、国内FXでは固定スプレッドが一般的で、取引条件が安定していますが、約定拒否やスリッページが発生することがあるため、利益へのつながりにくい場面もあります。したがって、特に短期取引を重視するトレーダーにとっては、海外FXのほうが利益を上げやすい環境が整っているといえるでしょう。

大口取引のやりやすさ

大口取引のやりやすさは、海外FXと国内FXの約定力の違いにおいて重要なポイントです。国内FXでは、一般的に1ロットが1万通貨で設定されていますが、海外FXの場合、1ロットは10万通貨となります。このため、海外FXではより大きな取引を行うことが可能で、トレーダーにとっては大口取引のチャンスが広がります。

例えば、国内FXの業者であるGMOクリック証券やDMM FXは、それぞれ最大100ロット（100万通貨）の取引が可能ですが、海外FXのXMTradingやExnessでは、最大で50ロット（500万通貨）や200ロット（2,000万通貨）です。このように、取引可能なロット数が大きく異なるため、大口取引を行う際は約定力の重要性がさらに増します。

特に、海外FXのハイレバレッジを活用して大規模な取引を行うトレーダーにとっては、約定力をしっかりと確認することが欠かせません。

約定力の高いFX業者を見分けるポイント

約定力の高いFX業者を見分けるためのポイントとして、以下の2つが挙げられます。

それぞれ解説します。

サーバーの強さ

サーバーの強さは、約定力の高いFX業者を見分ける重要なポイントです。トレーダーの注文が集中する際、強力なサーバーを持つ業者では処理の遅延が少なく、迅速な約定が期待できます。

これにより、価格変動の激しい市場環境でもトレーダーはスムーズに取引を行うことができ、思惑通りの価格で約定する可能性が高まります。サーバーの性能は業者選びにおいて見逃せない要素です。

対応する金融機関の多さ

対応する金融機関の多さは、FX業者の約定力を見極める際の重要な要素です。カバー先となる金融機関が多ければ多いほど、トレーダーの注文に対してより近いレートで約定しやすくなります。

これは、多くの金融機関がトレーダーの注文に対するカバーレートを提示できるためです。FX業者は自社の損失を避けるため、注文レートとカバーレートが一致する場面での約定を優先するため、対応する金融機関が多いことが約定力の向上につながります。

まとめ

今回は、FXにおける約定力の重要性や約定力が取引に与える影響について解説しました。

約定力が低いと取引に関するさまざまなリスクが高まるため、約定力の高いFX業者、通貨を選んで取引することがポイントです。また、国内・海外の業者によって約定力が異なるため、特徴を理解した上で自分に合った会社を選ぶことが欠かせません。

記事の内容を参考にしながら、約定力の高いFX業者を選んでスムーズな取引を実現しましょう。