「FXの注文方法が複雑でなかなか理解できない」「どの注文方法を選べば良いか分からない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
効果的にFX取引を行うためには、注文方法の種類やそれぞれの特性を理解することが欠かせません。
今回は、FX取引で使える主な注文方法やトレードスタイル別のおすすめの注文パターンについて詳しく解説します。
「基本的な注文方法を理解したい」「適切な注文方法の選び方を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
FXトレーダーが覚えておくべき7種類の注文方法
FXトレーダーが覚えておくべき注文方法として、以下の7種類があります。
- 成行注文
- 指値注文
- 逆指値注文
- OCO注文
- IFD注文
- IFO注文
- トレール注文
それぞれについて解説します。
成行注文
成行注文は、FXトレーダーにとって最も基本的な注文方法です。この注文方法は、現在の為替レートで即座に取引を成立させたい場合に使用します。
例えば、市場が急激に動いている時や、特定の価格を待たずに「今すぐ買いたい」または「今すぐ売りたい」と思った時に有効です。成行注文は非常にシンプルで、特にFX取引を始めたばかりの初心者でも直感的に使いやすい注文方法といえます。
しかし、成行注文では、市場が急激に変動している場合、注文を出した時の価格と実際に取引が成立する価格にズレが生じることがあるため注意が必要です。これを「スリッページ」と呼びます。
スリッページは、トレーダーが思っていた価格よりも不利なレートで取引が成立するリスクを伴います。特に、流動性が低い時間帯や重要な経済指標の発表時には、スリッページが大きくなる可能性があるため、成行注文を使用する際にはこの点を理解しておくことが重要です。
成行注文は即座に取引を完了させる手段として非常に便利ですが、スリッページのリスクを理解した上で、状況に応じた使い方をすることが求められます。初心者の方は、まずは少額でこの注文方法を試し、特徴をしっかりと把握してから本格的な取引に取り組むのがおすすめです。
指値注文
指値注文は、FX取引において、自分にとって有利なレートで売買を行うための注文方法です。トレーダーはあらかじめ希望する価格を指定し、その価格に達した時点で自動的に取引が実行されるように設定します。例えば、現在のレートよりも安い価格で買いたい場合や、高い価格で売りたい場合に、この指値注文を利用します。
具体的な例として、現在米ドル/円の為替レートが150円だとしましょう。このとき、「140円まで下がったら買いたい」と考える場合、140円で買いの指値注文を設定します。これにより、レートが140円に達した時点で自動的に買い注文が成立します。
同様に、現在のレートが150円のときに「160円に上がったら売りたい」と思う場合には、160円で売りの指値注文を設定しましょう。この設定により、レートが160円に達した時点で売り注文が成立します。
指値注文の最大の利点は、自分が目指す価格で確実に取引を行えることです。トレーダーは、市場の動向に応じて時間をかけながら理想的な価格を待てるため、無駄な取引を避けられます。一方、指定した価格にレートが到達しない限り、取引が成立しないリスクも伴うため注意しましょう。指値注文を使う際は、目標とする価格が現実的であるかをよく考え、適切に設定することが重要です。
指値注文は、リスクをコントロールしながら取引を進めたいトレーダーにとって便利な取引方法といえます。特に、忙しくてチャートを常に確認できない方は有効に活用できるでしょう。
逆指値注文
逆指値注文は、FXトレーダーが損失を最小限に抑えるための取引方法の一つです。この注文方法は、指定したレートに達した時点で自動的に売買を行うもので、特に自分にとって不利な方向に価格が動いた場合に利用されます。
逆指値注文は「ストップ注文」や「損切り注文」とも呼ばれ、予想が外れた際に損失が拡大するのを防ぐ役割を果たします。
例えば、現在の米ドル/円のレートが150円だとしましょう。この時、トレーダーは「もし価格が151円以上に上昇したら損失が出るため、151円で買い戻したい」と考えた場合、111円で買いの逆指値注文を設定します。この設定により、レートが151円に達した瞬間に成行で買い注文が実行され、さらなる損失を防げる仕組みです。
逆に、米ドル/円を150円で購入した後、「価格が149円以下に下がったら損切りしたい」と考えた場合、149円で売りの逆指値注文を設定します。これにより、レートが149円に下落した際に自動的に売り注文が出され、予想外の損失が拡大するのを防げるでしょう。
逆指値注文は、特に相場の予測が難しいと感じる初心者にとって、リスク管理をしやすい注文方法です。予期せぬ価格変動に対して事前に対策をしておくことで、トレードにおける精神的な負担を軽減し、より安心してFX取引に取り組みやすくなります。
OCO注文
OCO注文(One Cancels the Other)は、FX取引において2つの注文を同時に設定し、どちらか一方が成立するともう一方が自動的にキャンセルされる注文方法です。この仕組みは、相場がどちらに動いても、あらかじめ設定した範囲内で取引を完了させたい場合に非常に有効です。
例えば、現在米ドル/円のレートが150円だとしましょう。この時「155円になったら利益を確定して売りたい」と考える一方で、「もし相場が下落して145円以下になったら損失を最小限に抑えるために売りたい」と思う場合に、OCO注文を活用します。155円での売り指値注文と、145円での逆指値注文を同時に設定することで、相場がどちらの方向に動いても、自動的に利益確定または損切りが実行されます。
OCO注文の大きな利点は、相場の急な変動に対応できることです。例えば、相場が急に上昇して利益確定ラインに達した場合、その時点で自動的に利益が確定され、逆に設定していた損切り注文がキャンセルされます。同様に、相場が急落した場合には損切りが実行され、利益確定の注文がキャンセルされます。これにより、トレーダーは相場を常に監視しなくても、リスク管理を徹底しつつ取引を行えるでしょう。
OCO注文は、FX取引に多くの時間を割けないトレーダーや、不安定な相場でリスクを最小限に抑えつつ利益を狙いたいトレーダーにとって有効な注文方法です。市場の予測が難しい場合でも、この注文方法を利用すればトレーダーは安心して取引できるでしょう。
IFD注文
IFD注文(イフダン注文)は、新規注文と決済注文を一つのセットとして同時に出せる便利な注文方法です。この注文は、トレードの始めから終わりまでを自動的に管理するため、相場に張り付いて監視する時間を大幅に減せることがメリットです。
例えば、現在米ドル/円のレートが150円で、トレーダーが「もしレートが149円に下がったら買い、その後152円に上がったら売って利益を確定したい」と考えた場合、IFD注文を活用します。この場合、149円で新規の買い注文を出し、その後152円に達した際に自動的に売りの決済注文が実行される仕組みです。
IFD注文の魅力は、事前に取引のシナリオを設定しておけば、相場がその通りに動いた時に取引が自動で完了することです。そのため、忙しくて相場を逐一確認できない時や、急激な市場の変動が予想される時は、IFD注文を使うことで効率的かつリスクを抑えたトレードが可能となるでしょう。
さらに、IFD注文は新規注文が成立しない限り決済注文が発動しないため、不要なリスクを回避できるメリットもあります。
IFO注文
IFO注文(イフダン・オーシーオー注文)は、新規注文と決済注文を同時に設定できる高度な注文方法で、リスク管理を重視するトレーダーにとって有効な手段といえます。IFO注文は、IFD注文とOCO注文を組み合わせたもので、新規注文を出した後、相場が思い通りに動いた場合の利益確定と、逆に不利に動いた場合の損失回避を同時におこないます。
たとえば、現在の米ドル/円レートが150円で、トレーダーが
- 「もしレートが149円に下がったら買い、その後151円に上昇したら利益を確定したい」
- 「逆に、145円以下に下がったら損失を最小限に抑えて損切りしたい」
と考えた場合、IFO注文を活用できます。この場合、149円で新規の買い注文を出し、同時に151円での決済売り注文と、145円での損切り注文を設定しましょう。
このように、IFO注文では新規注文と共に、利益確定と損切りの両方を一度に設定できます。取引の際、感情に左右されることなく、事前に決めた戦略通りに進められることがメリットです。
また、OCO注文の特徴を活かして、どちらか一方の決済注文が成立するともう一方が自動的にキャンセルされるため、無駄なリスクを避けてトレードできます。
トレール注文
トレール注文は、相場の動きに応じて自動的に決済価格を調整できる注文方法で、利益を確保しつつリスクを管理したいトレーダーにとって便利な注文方法です。トレール注文では、設定したトレール幅に基づいて相場が有利な方向に動いた場合に決済価格が自動で追随し、不利な方向に動いた場合に利益を確定できます。
例えば、米ドル/円が150.00円で買いポジションを持っているとしましょう。この時、トレール幅を20ピップスに設定すると、初期の執行基準価格は149.80円になります。相場が150.20円に上昇した場合、執行基準価格は150.00円に引き上げられ、さらなる上昇に備えられる仕組みです。
また、相場がその後150.50円まで上昇した場合、基準価格は150.30円に再設定され、利益確定ラインが自動で更新されます。
この場合、相場が150.50円から急落し、設定した基準価格の150.30円に達すると、自動的に決済注文が発動されるため、損失を回避しながら利益を確保できます。
このように、トレール注文は手動で注文を出す手間を省き、かつ相場の急変に対応しやすいため、相場の流れを細かく追うのが難しい場合に有効です。
FXの取引スタイル別におすすめの注文パターンを紹介
ここでは、以下のFXの取引スタイル別に、おすすめの注文パターンを紹介します。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
- ポジショントレード
それぞれについて解説します。
スキャルピングにおすすめな注文パターン
スキャルピングは、数秒から数分の短期間で売買を繰り返す取引手法です。この手法では、相場のわずかな動きを捉えて利益を積み重ねるため、素早い判断と実行が求められます。
そのため、即座に注文を成立させられる「成行注文」が有効です。成行注文を使うことで、チャンスを逃さずに取引を行うことができ、スキャルピングにおいて最大限のパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。
デイトレードにおすすめな注文パターン
デイトレードでは、数時間から一日単位で売買を行うため、価格変動に応じた柔軟な対応が求められます。
成行注文も有効ですが、より計画的な取引をするためには、売買価格を事前に指定できる指値注文や逆指値注文が適しています。
さらに、OCO注文を活用すれば利益確定と損切りを同時に設定できるため、リスク管理がしやすく、効果的なデイトレードをおこなえるでしょう。
スイングトレードにおすすめな注文パターン
スイングトレードは、数日から数週間かけてポジションを保有する中期的な取引手法です。
このため、瞬時の約定が求められる成行注文よりも、計画的な価格設定が可能な注文方法が適しています。具体的には、売買価格をあらかじめ指定できる指値注文や逆指値注文が効果的です。
さらに、OCO注文を活用することで、利益確定と損切りの設定を一度に行い、相場の変動に対応しやすくなります。これにより、スイングトレードのリスク管理がしやすくなり、より安定した利益を狙いやすいでしょう。
ポジショントレードにおすすめな注文パターン
ポジショントレードは、数週間から数ヶ月といった長期的なスパンでポジションを保有する取引手法です。相場の変動幅が広くなる可能性があるため、計画的な取引が重要です。
最適な注文方法としては、IFO注文が挙げられます。IFO注文は、新規注文とともに利益確定や損切りの条件を細かく設定できるため、長期間の取引においてもリスク管理がしやすいことが特長です。
ポジショントレードでは、長期的な視点での注文方法を活用することで相場の変動に柔軟に対応し、安定した利益を目指しやすくなります。
まとめ
今回は、FXにおける7つの注文方法について解説しました。注文方法によって特徴や向いているトレードスタイルが異なるため、自身に合った注文方法を選ぶことが大切です。
また、注文方法は1つに絞るのではなく、相場状況を常に確認しながら、現在の相場に適した注文方法で取り組むことが欠かせません。
記事の内容を参考にしながら、最適な注文方法を選んで活用できるFXトレーダーを目指していきましょう。