「FX取引のSL(ストップロス)って何のこと?」「SL(ストップロス)をどう活用すればリスクを減らせるの?」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
FXで安定した利益を得るためには、適切にSL(ストップロス)を設定することや、リスク管理の方法を理解することが欠かせません。
今回は、SL(ストップロス)の基本的な考え方や、ツールを使った設定方法について詳しく解説します。
「SL(ストップロス)とはそもそも何なのか知りたい」「SL(ストップロス)の設定方法を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
FXにおけるSL(ストップロス)とは
FX取引におけるSL(ストップロス)とは、主に損失を制限するための手段であり、一般的には「損切り」を指します。市場の変動によっては思わぬ方向に価格が動くことがあり、過大な損失を回避するためには、事前に損切りラインを設定することが不可欠です。
この損切りラインを明確にすることで、冷静な取引が可能になり、感情的な判断を避けることができます。
SL(ストップロス)を効果的に運用するためには、新規注文と同時にSL(ストップロス)の設定を行うことが推奨されます。これにより、取引開始時からリスク管理ができ、後の手間を省けます。
SL(ストップロス)注文には、主に以下の3種類の注文方法があります。
- 逆指値注文
- OCO(One Cancels Other)注文
- トレーリングストップ注文
それぞれの注文方法について、概要を解説します。
SL(ストップロス)を発注する主な注文方法その1:逆指値注文
逆指値注文とは、特定の価格に達した際に自動的に取引を行う注文方法の一つです。この注文は、現在の価格よりも高い価格になった場合に買い、または低い価格になった場合に売るという特徴を持っています。言い換えれば、逆指値注文は「現在の状況よりも不利な条件で取引を行う」形になります。
この逆指値注文は、指値注文とは異なり、利益を得るためではなく、主に損失を制限する目的で使用されることが多いです。例えば、すでに保有しているポジションに対して、逆指値注文を設定することで、価格が予想に反して動いた場合でも、事前に定めた価格で損切りを行えます。
これにより、精神的な負担を軽減し、冷静に市場に対応することが可能になります。逆指値注文は、特に市場のボラティリティが高い時期において、投資家がリスクを管理するための有効な手段です。
SL(ストップロス)を発注する主な注文方法その2:OCO注文
OCO注文は「One Cancels the Other」の略で、2つの注文を同時に発注し、いずれか一方が約定するともう一方が自動的にキャンセルされる仕組みです。この注文方法は、利益確定と損切りの両方を同時に設定できるため、非常に便利です。
具体的には、保有しているポジションがある場合、OCO注文を用いることで一定の利益が得られた際に利益確定する注文と、逆に価格が一定のラインを下回った場合に損失を限定するための損切り注文を同時に設定できます。これにより、相場がどのように動いても、事前に定めたルールに基づいて自動的に取引を行うことができます。
OCO注文は、新規注文にも利用可能で「この価格まで上昇したら売り、この価格まで下降したら買い」といった形で設定することもできます。これにより、相場の動きに応じて自動的にポジションを保有でき、柔軟な取引が実現します。
OCO注文と似たような注文方法には、IFD注文やIFO注文がありますが、OCO注文は決済注文同士や新規注文同士を組み合わせて使える点が特徴です。これにより、より幅広いな戦略を持つことが可能になります。
SL(ストップロス)を発注する主な注文方法その3:トレーリングストップ注文
トレーリングストップ注文は、相場の動きに応じてSL(ストップロス)が自動的に調整される注文方式です。この仕組みは、利益を最大化するために非常に有効です。具体的には、買いポジションを持っている場合、相場が上昇するにつれてSL(ストップロス)も同じ幅だけ引き上がります。
このため、相場が上昇している間は利益が増大し続け、逆に価格が下落した際には設定したSL(ストップロス)の水準で決済が行われます。
トレーリングストップの大きな魅力は、相場の変動に応じてSL(ストップロス)が追随することで、トレンドに乗って利益を伸ばせる点です。固定の利益確定ラインを設けるのではなく、トレンドに合わせて柔軟に対応できるため、特に相場が活発な時に効果を発揮します。
一方で、トレーリングストップにはデメリットも存在します。トレンドが明確でないもみ合い相場では、思ったように機能せず、早めに決済されてしまうことが多いです。また、SL(ストップロス)の設定幅が狭すぎると、一時的な価格変動によって無駄に決済されてしまうリスクがあります。そのため、トレーリングストップを利用する際は、設定幅を慎重に見極めることが重要です。
FXにおけるSL(ストップロス)の重要性
FX取引においては、すべてのトレードが利益をもたらすわけではありません。市場の変動や予測の外れによって、時には損失を被ることも避けられません。そのため、SL(ストップロス)を設定することは、資金管理の観点から非常に重要です。SL(ストップロス)を活用することで、個別の取引における損失をコントロールし、リスクを最小限に抑えることができます。
FXでは、利益と損失の合計が取引の効率を決定づけるため、損失が大きくなる前に適切なタイミングで損切りを行うことが求められます。これにより、次の取引に向けた資金を守ることができ、資産の運用効率を高められるでしょう。特に、短期的な取引やデイトレードでは、市場の急激な変動に対して迅速に反応できることが、成功へのカギとなります。
また、SL(ストップロス)は感情的な判断を避ける手段ともなります。損失が拡大する前に計画的に損切りを行うことで、心理的な負担を軽減し、トレードに集中できる環境を整えられるでしょう。
FXにおけるSL(ストップロス)注文のメリット・デメリット
ここでは、FXでSL(ストップロス)注文をかけるメリット・デメリットについて解説します。
SL(ストップロス)注文のメリット
SL(ストップロス)注文の最大の利点は、指定した価格に達した際に自動的に損切りを行ってくれる点です。これにより、トレーダーはチャートから目を離している間でも、大きな損失を未然に防ぐことができます。特に、相場が急変する場合においては、SL(ストップロス)を設定しておくことで心理的な負担を軽減し、冷静な取引を維持しやすいです。
さらに、SL(ストップロス)は損切りだけでなく、強いトレンドに乗るためのトレンドフォロー戦略にも活用できます。相場が有利な方向に動いているときに、SL(ストップロス)を利用して利益を確保しつつポジションを維持することが可能です。
SL(ストップロス)注文のデメリット
SL(ストップロス)注文の主なデメリットは、指定した価格に達しなければ約定しない点です。損切りとして使用する場合は特に問題はありませんが、トレンドフォローの戦略ではこの特性が不利に働くことがあります。
相場が常に一方向に動くわけではなく、レンジ相場になることも多いため、限られた値幅の中でSL(ストップロス)を設定すると意図した価格に到達しない可能性もあります。
この場合、トレンドの始まりを逃してしまい、利益を得るチャンスを失うリスクがある点に注意しなければなりません。また、逆に相場が急激に動いた際に指定した価格を大きく超えて損切りが実行される「スリッページ」も発生することがあります。
このように、SL(ストップロス)注文は、使い方によっては思わぬ不利益を招く可能性があるため、慎重な設定が求められます。
FXにおけるSL(ストップロス)とロスカットの違いは?
SL(ストップロス)は、トレーダーが自分の意思で設定する損切り注文です。
具体的には「5,000円までの損失を許容する」と決めれば、その金額に基づいてSL(ストップロス)を設定します。これにより、実際の損失が想定を超えるのを防ぎ、より安心して取引に臨めることが特長です。
一方、ロスカットは、FX業者が自動的に実施する強制決済です。例えば、トレーダーの証拠金が一定の割合を下回ると、すべてのポジションが強制的に決済されます。この結果、損失がSL(ストップロス)の設定額を大きく超えてしまうことが一般的です。
SL(ストップロス)では個々の建玉に価格を指定できますが、ロスカットは全建玉が強制決済され、損失額も一般的に大きくなりがちです。
FXにおけるSL(ストップロス)を設定する目安
SL(ストップロス)を設定する際の目安として、許容できる損失額を基準にすることが推奨されます。
例えば、100pipsのSL(ストップロス)を設定した場合、5,000通貨の取引であれば損失は5,000円ですが、500,000通貨の場合は50,000円に達する可能性があります。
このように、取引数量によって損失額が変動するため、初心者はpips幅ではなく具体的な金額で損失を設定することが重要です。これにより、予期しない大きな損失を避けやすくなるでしょう。
FXツールを使ったSL(ストップロス)の設定方法
ここでは、以下の3つのツールについてSL(ストップロス)注文を設定する方法を解説します。
- MT4
- MT5
- TradingView
それぞれ見ていきましょう。
MT4を使ったやり方
FX取引でのSL(ストップロス)の設定は、MT4を利用すると非常に便利です。まず、MT4を起動したら、画面上の「新規注文」ボタンを選択します。これにより、新規注文のダイアログが表示されます。
次に、表示されたダイアログ内の「決済逆指値(S/L)」の欄に、設定したいSL(ストップロス)の価格を入力してください。この価格は、自分が許容できる損失額に基づいて決定することが重要です。入力が完了したら、「成行売り」または「成行買い」を選択して注文を確定します。
取引が約定すると、チャート上には緑のラインが約定価格を示し、赤のラインが設定したSL(ストップロス)の位置を示します。
MT5を使ったやり方
FX取引において、SL(ストップロス)の設定はMT5を利用することで簡単に行えます。まず、MT5を起動し、画面上の「新規注文」ボタンを選択します。この操作により、新規注文のダイアログが表示されます。
新規注文ダイアログが開いたら、そこにある「Stop Loss」の欄に、希望するSL(ストップロス)の価格を入力してください。設定した価格は、自身のリスク管理方針に基づいて決めることが重要です。入力が完了したら、「成行売り」または「成行買い」を選択して、注文を確定させましょう。
注文が約定すると、チャート上に赤いラインが表示され、これが設定したSL(ストップロス)の位置を示します。
TradingViewを使ったやり方
FX取引において、TradingViewを利用することで簡単にSL(ストップロス)を設定できます。まず、TradingViewを起動し、チャートの左上にある「成行売り」または「成行買い」のボタンを選択しましょう。これにより、注文画面が表示されます。
注文画面では、損切りの設定部分に希望する価格を入力してください。ここでの価格設定は、自身が許容できるリスクに基づいて行うことが大切です。入力が終わったら、画面下にある発注ボタンをクリックすれば、注文が完了します。
さらに、OANDA証券の「fxTrade」を利用している場合、TradingView上で直接取引が可能です。この場合、注文パネル内のストップオーダーセクションに価格やpips数を指定することで、新規注文と同時にSL(ストップロス)を設定できます。これにより、効率的にリスク管理を行いながら取引を進められるでしょう。
まとめ
今回は、FXにおけるSL(ストップロス)注文の概要やメリットとデメリット、ツールを使った設定方法について解説しました。
FXでリスク管理をしっかり行うためには、SL(ストップロス)の設定方法を理解し、MT4やMT5、TradingViewなどのツールを活用することが欠かせません。
記事の内容を参考に、SL(ストップロス)を活用して安心して取引を進められるよう、自分に合った適切な設定を見つけていきましょう。