FXの利益は年末調整の対象?確定申告が必要なケースややり方を解説

FXの利益は年末調整の対象?確定申告が必要なケースややり方を解説
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「FXの利益は年末調整の対象になるの?」「そもそも、FXの利益って確定申告は必要なの?」と疑問を感じている方は多いのではないでしょうか。

今回は、FX取引における年末調整の捉え方や確定申告が必要なケース、具体的なやり方について解説します。

「FXは年末調整の対象になるのか知りたい」「確定申告に必要な書類の準備方法や提出方法を知りたい」といった方は、ぜひ参考にしてください。

目次

FXで得た利益は年末調整の対象外となる

FXで得た利益は、年末調整の対象外となります。年末調整とは、主に会社員が給与や賞与から差し引かれる所得税を再計算し、過不足を調整する手続きです。これは本業の給与に関連する税金に限定されており、FX取引などで得た利益は含まれません。

そのため、FXで得た利益が一定額を超えた場合には、確定申告を通じて適切に納税を行う必要があります。給与所得者であっても、給与以外の収入については自分で税務処理を行わなければならない点に注意しましょう。

FXで確定申告をしてない人は多い?必要な4つのケース

「FXの収益について確定申告をしていない人は多い」と聞いたことがあるかもしれませんが、以下のいずれかに該当する場合は確定申告が必要です。

  • 年末調整を受けられない会社員や個人事業主
  • 年末調整できない控除を申告する人
  • 確定申告が必要な所得水準を超える人
  • 複数の収入がある人

確定申告をしないとペナルティが科される場合もあるため、確定申告が必要な方は正しい税務処理をおこないましょう。それぞれのケースについて、詳しく解説します。

年末調整を受けられない会社員や個人事業主

年末調整は、主に会社員やアルバイトなどが受けられる税務手続きで、給与から差し引かれる税金の過不足を調整するものです。しかし、年収が2,000万円を超える会社員や、個人事業主として働いている人は、年末調整の対象外となります。

この場合、給与以外の収入を含めた全ての所得について、自ら確定申告を行う必要があります。

FXでの取引によって利益を得た場合も、年末調整では処理されません。ただし、FX以外の所得がなく、年間のFX利益が48万円以下の場合、確定申告の義務はありません。専業主婦や学生など、他に収入がない場合には、一定額以下の利益であれば申告を省略できます。

年末調整できない控除を申告する人

年末調整では、給与から差し引かれる税金の調整が行われますが、医療費控除やふるさと納税、初年度の住宅ローン控除など、特定の控除は含まれていません。これらの控除を適用したい場合は、年末調整ではなく、自分で確定申告を行う必要があります。

また、これらの控除を受けるための申告を行う際には、FXの取引による利益も合わせて申告しなければなりません。たとえFXの利益が少額であっても、他の控除と併せて申告することが求められます。

特定の控除を申請する際には、すべての所得を正確に申告して税務処理をおこないましょう。

確定申告が必要な所得水準を超える人

会社員が年末調整を受ける場合、FXのような副業で得た利益が年間20万円を超えると、確定申告が義務付けられます。これは、年末調整が給与所得にのみ適用されるため、副業からの利益が一定額を超えると、自ら税務申告を行う必要があるからです。

一方で、給与がない専業主婦や学生がFXでのみ収入を得ている場合、FXの利益と他の所得の合計が年間48万円を超えると、確定申告が必要です。この48万円という金額は、基礎控除額に相当し、控除の範囲内であれば申告義務が生じませんが、これを超える場合には申告を行わなければなりません。

いずれの場合も、自分の所得状況に応じて確定申告を行うことが重要です。

複数の収入がある人

複数の勤務先から給与を受け取っている場合でも、年末調整はひとつの会社でしかできません。

そのため、複数の会社から給与を受け取っている場合には、正確な納税額を算出するためにも確定申告が必要です。

なお、誤って両方の勤務先に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出し、年末調整を複数箇所で受けた場合は控除が重複してしまい、本来納税しなければならない金額とずれが発生してしまいますので、必ず確定申告をするようにしてください。

FXで損失が出たら確定申告は不要?

FXで損失が出た場合、必ず確定申告をしなければならないわけではありませんが、確定申告をするメリットもあることを押さえておきましょう。

FXが損失が出た際に確定申告をすることで、損益通算や繰越控除が可能となり、税負担を軽減できる可能性があります。以下より、損益通算と繰越控除について詳しく解説します。

税負担の軽減方法その1:損益通算

FX取引で損失が出た場合でも、その損失を他の所得と相殺できる「損益通算」を活用することで、税負担を軽減できます。損益通算とは、複数の所得がある場合に利益と損失を合算して、全体の課税額を減らす方法です。

FXの利益と損益通算できるのは「先物取引に係る雑所得等」に分類される所得に限られます。具体的には、FXのほかに日経平均先物や商品先物、TOPIX先物などが該当します。例えば「FXで80万円の利益が出たが、他の先物取引で40万円の損失が出た」という場合、この2つを損益通算することで課税対象となる利益を40万円に減らせます。

このように、損益通算を適用することで損失を活かして税負担を抑え、より効率的に資産を管理できるでしょう。ただし、相殺できるのは特定の所得に限られるため、確定申告の際には注意が必要です。

税負担の軽減方法その2:繰越控除

FX取引で損失が発生し、損益通算を行ってもその年の控除額を超える損失が残った場合、「繰越控除」を利用することで税負担を軽減できます。この制度を活用すれば、控除しきれなかった損失を翌年以降の利益から差し引ける仕組みです。

例えば、ある年にFX取引で150万円の損失が発生し、他の所得から100万円を損益通算しても、50万円の損失が残る場合があります。この50万円の損失は、翌年以降の3年間にわたり、FXや先物取引などの利益と相殺できます。

なお、繰越控除を利用するためには毎年確定申告を行う必要があり、申告を怠ると控除の権利を失うため注意が必要です。この制度を上手に活用することで、長期的に税負担を軽減し、資産運用の効率を高められるでしょう。

年末調整の対象外になるFX利益の確定申告のやり方

FXで得た利益は年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。確定申告の主なやり方としては、以下が挙げられます。

  • e-Taxで提出
  • 税務署へ直接提出
  • 税務署へ郵送して提出

それぞれについて解説します。

e-Taxで提出

FX利益の確定申告には、e-Taxの利用が便利です。確定申告書を作成する際、マイナンバーカードと対応したスマートフォンがあれば、手軽に申告できます。

また、マイナンバーカードを持っていない場合でも、税務署で事前にIDとパスワードを取得すればe-Taxを利用できます。

申告後には「受信通知」が届き、申告内容が無事に税務署に到達したことを確認できるため、安心して利用しやすいでしょう。

税務署へ直接提出

FX利益の確定申告書は、住所地を管轄する税務署に直接持ち込むことでも提出できます。

また、窓口での提出のほか、時間外収受箱に投函する方法もあります。提出した申告書の控えに収受日付印が必要な場合は、控えと返信用封筒を同封しておきましょう。

税務署では申告書の書き方についての相談も対応してもらえることがあるため、疑問点がある場合は直接確認してみてください。

税務署へ郵送して提出

確定申告書は、住所地を管轄する税務署や業務センターに郵送する方法でも提出できます。郵送時には、管轄が税務署か業務センターかを確認し、適切な宛先に送付しましょう。

なお、郵送方法は郵便や信書便に限定されており、宅配便やゆうメールは利用できません。申告書の控えに収受日付印が必要な場合は、控えと返信用封筒を同封するのを忘れないようにしましょう。

FX利益について確定申告する際の書類の書き方

ここからは、FXで得た利益について確定申告する際の書類の書き方を紹介します。

必要な以下2つの書類について、書き方を確認した上で提出の準備を進めましょう。

  • 先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書
  • 確定申告書の書き方

それぞれ解説します。

先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書の書き方

FX取引の確定申告を行う際には、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」を提出する必要があります。

まず、明細書の「所得の種類」欄で「雑所得用」に丸印をつけ、納税者自身の名前を記入しましょう。

次に、「取引の内容」欄には、取引の種類として「外国為替取引」を選択し、決済の方法として「差金決済」と記入します。具体的な決済年月日や数量については、年間の取引をまとめて記載することが認められているため、個別の取引ごとに記入する必要はありません。

続いて「総収入金額」欄には、年間取引報告書に基づいて、1年間で得た総収入を記入します。「必要経費等」欄には、FX取引に関連する経費を入力します。経費を適切に申告することで所得を抑えられるため、税負担の軽減につながります。

最後に「所得金額(12)」欄に、総収入から経費を差し引いた金額を記入し、最終的な所得額を算出します。「合計欄」も忘れずに記入し、正確な申告を行いましょう。

この明細書は国税庁のWebサイトからダウンロードできるため、必要に応じて利用してください。

確定申告書の書き方

確定申告書の第三表は、FX取引の利益を含めた「先物取引に係る雑所得等」の申告内容を記載する重要な書類です。

複数の記入欄があるため、それぞれ解説します。

「収入金額」の欄

まず「収入金額」の欄では、分離課税の対象となる「先物取引(ト)」の項目に、年間の収入金額の合計を記入します。

この金額は、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」に基づいて転記しましょう。

「所得金額」の欄

「所得金額」欄の「先物取引(74)」には、経費を差し引いた後の所得金額を記入します。

この金額についても、明細書からの転記が必要です。です。この際、収入と経費を正確に反映させましょう。

「税金の計算」の欄

「税金の計算」欄に進み、「総合課税の合計額(12)」と「所得から差し引かれる金額(29)」を確定申告書第一表からそのまま転記します。ただし、FX取引による利益は、この欄には含まれないため注意が必要です。

次に「課税される所得金額」の「(12)対応分(77)」では、総合課税の合計額から所得から差し引かれる金額を差し引き、1,000円未満の端数を切り捨てて記入します。また、「(74)対応分(82)」には、先物取引に関する所得金額を転記しましょう。

「確定申告書の右側」の欄

右側の欄では、自分で計算した税額を記入します。「税金の計算」の「税額」欄の「(77)対応分(85)」には、第一表から転記した税額を記入しましょう。税金の計算は、国税庁のサイトで公開されている速算表を使ってください。

FXの利益にかかる税金は「(82)対応分(90)」に記入し、所得税率15.0%を用いて計算します。

最後に「(85)から(92)までの合計(93)」に合計税額を記入し、繰越控除がある場合は、その内容も記載します。繰越控除がない場合は、該当欄の記入は不要です。すべての記入が完了したら、第一表で復興所得税を含む最終的な税額を計算し、対応する欄に記入しましょう。

まとめ

今回は、FXで得た利益は年末調整の対象となるのかどうか、確定申告が必要なパターン、損失が出た際に確定申告するメリットなどを解説しました。

FXで得た利益は年末調整の対象外となるため、年末調整を受けられない会社員や個人事業主の方をはじめ、年末調整できない控除を申告する人、確定申告が必要な所得水準を超える人、複数の収入がある人も確定申告が必要です。

FXの利益に対して確定申告が必要な場合は正しい金額を申告し、後のトラブルや後悔を防げるようにしましょう。

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この記事を書いた人

みわのアバター みわ 奇跡のおこもりトレーダー

50歳、地方暮らしのシングルマザーで、息子2人、犬4匹、鳥7羽、夫0人で家にこもって生活してます。生活資金が底をつく超貧乏生活から、7年前に、“自宅での稼ぎ方”に出会って脱出しました。

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