「FXにおけるロスカットの仕組みが理解できない」「ロスカットを防ぐ方法があれば知りたい」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
FX取引でロスカットを防ぐには、基本的な仕組みを理解し、適切な資金管理をすることが欠かせません。
今回は、ロスカットの意味やロスカットに関わる証拠金維持率の計算、ロスカットされないための対策方法について詳しく解説します。
「ロスカットを防ぐためのポイントを知りたい」「証拠金維持率の計算方法を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
FXにおける強制ロスカットとは?
FX取引における「強制ロスカット」とは、ポジションの含み損が一定の水準に達した際に、自動的に取引を決済する仕組みです。これは損失の拡大を防ぎ、投資家の資産を守るための重要な安全装置といえます。
強制ロスカットは、投資家が自己判断で決済する「損切り」とは異なり、あくまで自動的に行われるため、急激な市場変動にも対応可能です。FX取引は利益を追求する一方でリスクも伴いますが、ロスカット制度によって大きな損失を未然に防ぐことができます。
以下より、ロスカットに関わる用語を解説します。
用語その1:有効証拠金
「有効証拠金」とは、口座残高に未実現の損益(含み益や含み損)を加えた金額のことです。具体的には、ポジションが保有されている場合、口座内の証拠金に含み益が加算され、含み損が差し引かれた額が有効証拠金となります。
ポジションを持っていない時は、口座内の証拠金がそのまま有効証拠金となります。ロスカットの際には、この有効証拠金を基に計算が行われるため、取引の状況を把握するためには重要な指標です。
用語その2:余剰証拠金
「余剰証拠金」とは、有効証拠金から必要証拠金を差し引いた残りの金額を指します。これは、取引に必要な証拠金を除いた、自由に使える資金のことです。
余剰証拠金が少なくなると、追加で取引を行う余地が減少し、リスクが高まるため、ロスカットのリスクも増加します。取引の安全性を保つためには、十分な余剰証拠金を確保し、資金管理を行うことが重要です。
用語その3:必要証拠金
「必要証拠金」とは、FX取引を行うために口座に最低限預け入れなければならない資金のことです。この金額は、取引を行うFX会社やその提供する取引プランによって異なります。
必要証拠金は、ポジションを保有するために必須の資金であり、これが不足すると追加の証拠金を求められるか、最悪の場合、ロスカットされるリスクがあります。取引の条件に合わせた適切な必要証拠金の設定が重要です。
用語その4:証拠金維持率
「証拠金維持率」とは、必要証拠金に対してどれだけの資金を保有しているかを示す割合のことです。これは、ポジションを保つために最低限必要な資金の割合を示しており、計算式は「証拠金維持率(%)=有効証拠金÷必要証拠金×100」で求められます。
証拠金維持率が高いほど、資金に余裕があり、ポジションを安定して維持しやすくなります。
一方、証拠金維持率が低下すると、追加の証拠金が必要になったり、ロスカットされるリスクが高まったりするため注意しましょう。
ロスカットに関わる証拠金維持率の計算方法
証拠金維持率は、FX取引においてポジションを維持するために必要な資金の割合を示す指標です。これは、保有ポジションに対してどれだけの資金が確保されているかを示し、証拠金維持率が低くなるとロスカットのリスクが高まります。
前項で少し紹介しましたが、証拠金維持率の計算式は以下の通りです。
証拠金維持率(%)=有効証拠金÷必要証拠金×100
例えば、ある取引で有効証拠金が10万円、必要証拠金が5万円の場合、証拠金維持率は次のように計算されます。
証拠金維持率(%)=10万円÷5万円×100=200%
この場合、証拠金維持率が200%であるため、ポジションを安定して維持できる状態です。
もう一つの例として、有効証拠金が6万円、必要証拠金が8万円の場合の計算は次の通りです。
証拠金維持率(%)=6万円÷8万円×100=75%
このケースでは証拠金維持率が75%となり、維持率が低下しているため、追加の証拠金が必要になる可能性があります。
このように、証拠金維持率は取引のリスク管理において重要な役割を果たします。
FXでロスカットが間に合わない2つのケース
FXでロスカットが間に合わない主なケースとして、以下の2つが挙げられます。
- 短期間で急激に価格が変動した時
- 週明けに窓空けが発生した時
それぞれについて解説します。
短期間で急激に価格が変動した時
FX市場では、マクロ経済や国際的な事件が原因で、価格が瞬時に大きく変動することがあります。例えば、テロ攻撃や金融危機などの突発的な事象が発生すると、相場は「フラッシュクラッシュ」と呼ばれる急激な値動きに見舞われることがあります。
このような状況では、ロスカットの指示が間に合わず、予想以上の損失が発生する可能性があります。急な価格変動に対してロスカットが効かない場合もあるため、リスク管理を徹底し、迅速に対応できる体制を整えることが欠かせません。
週明けに窓空けが発生した時
FX市場は週末に取引が停止しますが、その間に重大なニュースや経済イベントが発生すると、週明けの月曜日に「窓空け」が発生することがあります。窓空けとは、取引が再開された際に価格が前週の終値から大きく乖離する現象です。
これにより、ポジションが急激に不利な方向に動く可能性があり、ロスカットが迅速に行われない場合は損失が大きくなってしまうことがあります。
ロスカットが間に合わないと、預けた資金を超える損失が発生し、追加の資金を入金する必要が生じるため、リスク管理を徹底することが大切です。
FXでロスカットされない方法4選
FXでロスカットされないための方法として、以下の4つが挙げられます。
- 口座に追加資金を入金しておく
- 保有しているポジションを決済する
- レバレッジを低くする
- 損切りする
それぞれについて解説します。
口座に追加資金を入金しておく
FX取引において、ロスカットを避けるための有効な方法の一つが、口座に追加の資金を入金することです。新たに資金を投入することで、口座の純資産が増加し、証拠金維持率が改善します。
これにより、急な相場の変動にも耐えられる余裕が生まれ、ロスカットのリスクを抑えられます。
しかし、相場は一度トレンドが形成されると、しばらくその流れが続くことが多いため、追加の資金投入後も相場のトレンドが反転しない限り、証拠金維持率が再び低下する可能性がある点に注意が必要です。そのため、単に資金を追加するだけでなく、今後の相場の動きを見越して十分な余裕を持った資金管理を行うことが欠かせません。
相場の予測を立てるとともに、余裕を持って資金を投入しておくことで予期しない事態に備えられるでしょう。
保有しているポジションを決済する
ロスカットを回避するために効果的な方法の一つが、保有しているポジションの一部を決済することです。特に複数のポジションを持っている場合、一部のポジションやポジションを分割して決済することで、必要証拠金を減らすことができます。
これにより、証拠金維持率が改善され、ロスカットのリスクを抑えられます。
例えば、複数の通貨ペアでポジションを保有している場合、利益が出ているポジションを部分的に決済することで、そのポジションに必要な証拠金が減少します。これにより、全体の証拠金維持率が上昇し、急激な相場の変動に対する耐性が強化されます。
ただし、ポジションを決済する際には、将来の市場動向や現在のポジションの状況を十分に考慮することが重要です。適切な判断でポジションの調整を行い、リスク管理を徹底しましょう。
レバレッジを低くする
ロスカットを避けるためには、実効レバレッジを低く保つことが効果的です。実効レバレッジとは、保有ポジションに対する実際の資金の比率を示す指標で、これが高いほど相場の変動に対して敏感になります。高いレバレッジで取引を行うと、少しの価格変動でもロスカットのリスクが高まるため注意が必要です。
例えば、実効レバレッジが10倍で取引している場合、相場が予想に反して動くと、すぐに証拠金が不足しロスカットが発生する可能性があります。これに対抗するためには、実効レバレッジを3倍程度に抑えるのが望ましいとされています。
低いレバレッジで取引を行うことで、相場の変動に対する耐性が向上し、ロスカットに陥るリスクを減少させられます。
そのため、ポジションを持つ際は、過剰なレバレッジを避けるよう心がけ、十分な証拠金を確保しながら取引を管理することが重要です。
損切りする
ロスカットのリスクを管理するためには、あらかじめ「損切り」を設定しておくことが有効です。損切りとは、自分の判断で一定の損失が発生した際にポジションを決済し、損失を確定させる方法です。この手法は、ロスカットよりも損失を抑えることができ、トレードにおけるリスク管理の一環として欠かせません。
損切りとロスカットの主な違いは、実施する主体にあります。損切りはトレーダー自身の判断で行うものであり、意図した範囲内で損失を抑えることができます。
一方、ロスカットはFX会社によって強制的に行われるため、意図しない大きな損失が発生する可能性があります。このため、精神的な負担や取引成績への影響も大きくなりやすいです。
具体的な損切りのルールとしては、例えば「1回の取引で損失が〇%に達したら損切りする」といった基準を設定すると良いでしょう。これにより、感情的な判断を避け、計画的なトレードが可能になります。適切な損切りを行うことで、将来的なロスカットのリスクを軽減し、安定した取引を維持できます。
ロスカットについてよくある質問
ここからは、FXのロスカットについてよくある質問をまとめました。
ロスカットについてわからない点があれば、ぜひ参考にしてみてください。
ロスカットによって借金を抱えることはある?
結論として、ロスカットによって借金を抱えることはありません。ただし、ロスカットのシステムは「完全にリスクがゼロ」とは言えないため、注意が必要です。
ロスカットは、口座の証拠金が一定の水準を下回った場合に、ポジションを強制的に決済して取引を終了させる仕組みです。このシステムは、ユーザーの資金を守るために設計されていますが、極端な市場変動やシステムの遅延が発生する可能性があります。
たとえば、為替相場の急激な価格変動や、FX会社が取引を停止している休日に大きな変動があった場合、ロスカットのタイミングが遅れることがあります。また、FX証券会社のシステムトラブルによっても、ロスカットが適切に機能しないリスクがあります。
これらのケースでは、ポジションが想定以上に損失を出し、結果的に追加資金が必要になることがあります。ただし、ロスカット自体によって借金を負うことはありません。
損失額が預けた資金を超える場合には、追加で資金を入金しなければならない可能性があることを覚えておきましょう。
ロスカットされたらどうなる?
ロスカットが発動すると、すべての保有ポジションが自動的に決済され、未約定の指値注文などもすべて取り消されます。これにより、口座の証拠金が一定の水準を下回った際に、追加の損失を防ぐことができます。
ロスカットは、取引時間中に常に証拠金の状況が監視されており、基準に達した場合には迅速に実施されます。そのため、証拠金が不足し続けると大きな損失が発生するのを防げるようになっています。具体的には、ロスカットが発動するとすべてのポジションが市場価格で決済され、取引が終了する仕組みです。
ロスカット以外にも、証拠金判定に基づく強制決済の機能がありますが、これらの基準や執行タイミングは異なることがあります。
ロスカットの詳細や基準については、FX会社の公式サイトなどで確認することをおすすめします。
まとめ
今回は、FXにおけるロスカットについて解説しました。ロスカットは、証拠金が一定水準を下回った際に自動的に保有ポジションを決済し、追加損失を防ぐ仕組みです。
取引時間中に証拠金の状況が常に監視され、基準に達すると速やかに執行されます。これにより、リスク管理が強化され、過度な損失を避けられることが特徴です。
ロスカットの詳細についてはFX会社のページ等で確認し、リスクを抑えたトレードを心がけましょう。