「FXでピボットの使い方が分からない」「ピボットを使う際におすすめのインジケーターがあれば知りたい」という方は多いのではないでしょうか。
FX取引でピボットを効果的に利用するには、基本的な計算方法やピボットの使い方を理解することが欠かせません。
今回は、ピボットの基本的な概念や、FXトレードでの活用方法について詳しく解説します。
「ピボットの基準や計算方法について理解したい」「ピボットポイントを使ったトレード戦略を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
FXにおけるピボットとは?
ピボット(PIVOT)は、J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニア氏によって開発されたテクニカル指標で、短期トレードで重宝される手法です。正式には「The Reaction Trend System」と呼ばれ、もみ合い相場での反転点を捉えるのが特徴です。
ピボットという名前は「回転軸」に由来し、相場の転換点を見極める能力に優れています。多くのプロトレーダーや機関投資家が使用する理由は、パラメーター設定が不要で、誰でも一貫した解釈が可能な点にあります。
これにより、初心者から上級者まで幅広く利用されているようです。
ピボットの基準
ピボットは、7本のラインから構成されており、その中心となるラインが「ピボット(P)」です。ピボット(P)の値は、前日の高値、安値、終値の平均値を基に算出されます。
この中心線を基に、上下に6本のラインが描画され、これらは「R1」「R2」「R3」「S1」「S2」「S3」と呼ばれます。具体的には、ピボット(P)を中心に、上側にレジスタンスライン(R1~R3)、下側にサポートライン(S1~S3)が配置され、それぞれのラインはピボット(P)の値を基に特定の計算式で導き出されます。
これにより、相場の転換点やサポート・レジスタンスレベルを見極めるための重要な基準が提供されます。
ピボットは時間足ごとに3種類に分けられる
ピボットは、基準となる時間足によって異なる3種類に分類されます。これらは「デイリーピボット」「ウィークリーピボット」「マンスリーピボット」です。
デイリーピボットは日足を基に計算され、主に短期トレードに適しています。ウィークリーピボットは週足を基準にし、中長期のトレードスタイルに向いています。マンスリーピボットは月足を基にしており、こちらも中長期トレードに最適です。
各ピボットは、それぞれの期間のローソク足からラインの値を求めるため、時間足によって異なるトレード視点を提供します。基本的な使い方は共通していますが、自分のトレードスタイルに合ったピボットを選ぶことが成功への鍵です。
ピボットの計算方法
ピボットの計算式は、以下の通りです。
ピボット(P)=(前日高値+前日安値+前日終値)÷3
合計3つの数値を足した上で3で割っているので「前日高値」「前日安値」「前日終値の平均値」となっています。
また、6つの線は以下の計算式で算出されます。
- P:(前日高値+前日安値+前日終値)÷3
- R1:2×P-前日安値
- R2:P+前日高値-前日安値
- R3:(HBOP):2×P-2×前日安値+前日高値
- S1:2×P-前日高値
- S2:P-前日高値+前日安値
- S3(LBOP):2×P-2×前日高値+前日安値
FXにおけるピボットの使い方
FXにおけるピボットの使い方として、逆張りの場合・順張りの場合のそれぞれを解説します。
逆張りの目安:R1・R2・S1・S2
ピボットのR1、R2、S1、S2は、逆張りトレードの重要な指標となります。具体的には、これらのラインが反転のサインとして利用されます。
たとえば、価格がR1またはR2に達した場合、これ以上の上昇は難しいと見なされ、逆張りで売りを検討します。同様に、価格がS1やS2に到達すると、これ以上の下落が予想されるため、逆張りで買いを検討しましょう。
もし価格がR1やS1を突破した場合、次のレベルであるR2やS2が新たな逆張りのポイントになります。そして、R2やS2も突破された場合は、R3やS3が逆張りの対象ではなく、順張りの目安として扱います。
これにより、相場の変動を柔軟に捉え、効果的なトレード戦略を立てることが可能になるでしょう。
順張りの目安:R3(HBOP)・S3(LBOP)
R3とS3は、順張りの目安として利用される重要なラインです。R3は「High Break Out Point」(HBOP)と呼ばれ、価格がこのレベルに達することで「上昇トレンドモード」が発生していると判断します。これにより、上昇トレンドが続く可能性が高いと見なされ、このタイミングでの順張りの買いポジションが有効です。
一方、S3は「Low Break Out Point」(LBOP)と呼ばれ、価格がこのレベルに達することで「下落トレンドモード」が発生していると判断します。下落トレンドが続く可能性が高いと考えられ、順張りでの売りポジションを検討します。
これらのポイントに到達した場合、トレンドに乗る順張り戦略が有効であり、R3での買い、S3での売りを仕掛けることでトレンドに乗ったトレードが可能です。
FXでピボットと組み合わせて使うのがおすすめなインジケーター
FXでピボットと組み合わせて使うのがおすすめなインジケーターとして、以下の4つが挙げられます。
- 移動平均線
- RSI
- MACD
- ボリンジャーバンド
それぞれについて解説します。
移動平均線
移動平均線は、一定期間の価格の平均を折れ線グラフで示すトレンド系のテクニカル指標です。このインジケーターは、市場のトレンドや転換点を把握するのに役立ちます。ピボットと組み合わせることで、より精度の高いトレード判断が可能となるでしょう。
ピボット単体では、トレンドの強さや変化を見極めるのが難しいことがありますが、移動平均線を併用することでその情報を補完できます。たとえば、移動平均線がピボットラインと交差するポイントや、移動平均線の傾きが変わるタイミングでトレンドの転換を予測しやすくなります。
この組み合わせにより、トレンドの方向性や強さをより明確に捉えることができ、効果的なトレード戦略を構築しやすいでしょう。
RSI
RSI(Relative Strength Index)は、オシレーター系のテクニカル指標で、相場の過熱度を測定します。RSIは、価格の買われすぎや売られすぎの状態を示すことで、逆張りトレードの有力なサポートとなります。
特に、ピボットと組み合わせて使用することで、レンジ相場でのトレード機会を広げやすくなるでしょう。
ピボットとRSIを併用することで、価格がピボットライン近辺での反発や突破を確認しつつ、RSIの数値で過熱感や冷却感をチェックすることが可能です。これにより、レンジ相場での反転ポイントを見極めやすくなり、リスクを抑えながら利益を狙うチャンスを増やすことができます。
RSIの値が特定のレベルに達した時にピボットのサポートやレジスタンスと組み合わせることで、トレードの精度を向上させられるでしょう。
MACD
MACD(Moving Average Convergence Divergence)は、移動平均線を基にしたオシレーター系のテクニカル指標で、短期と中長期の2本の移動平均線の差を分析します。この指標は、トレンドの転換点や売買のタイミングを見極めるのに役立ちます。
ピボットとMACDを組み合わせれば、トレードにおける判断の精度をより高めることが可能です。MACDは、指数平滑移動平均線を使用しているため、価格変動に対して反応が早く、短期トレードにも適しています。
ピボットラインでの反発を狙う際、MACDのシグナルラインとのクロスやヒストグラムの変化を確認することで、エントリーやエグジットのタイミングをより的確に捉えることができます。このように、MACDを利用することでピボットの分析を補完し、トレードの成功率を高めやすいでしょう。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、価格の変動率(ボラティリティ)を元に、一定期間の価格範囲を示すトレンド系のテクニカル指標です。価格の移動平均線を中心に、その上下に2本のバンド(標準偏差による)を描くことで、現在の価格がどれほど平均から離れているかを示します。これにより、トレンドの強さや市場の過熱感を把握できることが特徴です。
ピボットとボリンジャーバンドを組み合わせることで、より精度の高いトレード戦略が立てられます。具体的には、ピボットラインとボリンジャーバンドが重なるポイントを確認することで、レンジ相場における反発ポイントを狙いやすくなります。
ボリンジャーバンドが広がるとトレンドの強さを示し、バンド内での価格の動きがピボットラインに接触するタイミングでの反発を狙うことで、トレードの精度を高めやすいでしょう。
FXでピボットを使う際の注意点4つ
最後に、FXでピボットを使う際の注意点として、以下4つを紹介します。
- トレンド相場には向いていない
- 中長期のトレードには向いていない
- ピボットのみでトレードするのは難しい
- MT4やMT5を使っている人はダウンロードが必要になる
それぞれ内容を見ていきましょう。
トレンド相場には向いていない
ピボットは、価格が反発しやすいポイントを特定するのに優れた指標であり、特にレンジ相場での活用が一般的です。しかし、トレンド相場ではその効果が限定されることがあります。
強い上昇トレンドや下降トレンドが続いていると、ピボットラインが示す反発ポイントが機能しにくく、だましのシグナルが多くなる可能性があります。トレンド相場では、価格がピボットラインを越えてもそのままトレンドが継続するケースが多いため、ピボット単独でのトレードはリスクが高いといえるでしょう。
そのため、トレンド相場でピボットを使用する際には、他のテクニカル指標と併用して慎重に判断することがおすすめです。
中長期のトレードには向いていない
ピボットは、前日の高値、安値、終値を基に計算されるため、その有効性は当日のみに限定されます。このように、同じ値を次の日に再利用することができず、中長期のトレードには適していないため注意が必要です。
ピボットは主に短期的なトレード、例えばデイトレードやスキャルピングに最適な指標です。中長期のトレードでは、より広い期間の価格動向やトレンドを考慮する必要があり、そのためには他のテクニカル指標や分析方法を併用することが望ましいです。
ピボットの特性を理解し、自分のトレードスタイルに合った指標を選ぶことが重要です。
ピボットのみでトレードするのは難しい
ピボットは前日の価格データを基に計算されるため、その適用範囲は主に短期トレードに限られます。中長期トレードには不向きであり、ピボットだけで全てのトレード判断を行うのは困難です。
市場の長期的なトレンドや広範な価格動向を捉えるためには、ピボットと合わせて他のテクニカル指標を利用することが重要です。
例えば、移動平均線やRSIなど、異なる視点からの分析を行うことで、より精度の高いトレード戦略を構築できることが特徴です。ピボットを効果的に活用するためには、多角的な分析によるトレードを心がけましょう。
MT4やMT5を使っている人はダウンロードが必要になる
MT4やMT5を使用している場合、ピボットのインジケーターは標準で搭載されていないため、別途ダウンロードが必要です。これらのプラットフォームでピボットを利用するには、インターネットでピボットインジケーターのファイルを検索し、適切なものをダウンロードしてインストールする必要があります。
設定が完了すれば、トレード画面にピボットのラインを表示できるようになり、分析に活用することができます。導入前に、信頼性のあるインジケーターを選ぶことが重要です。
まとめ
今回は、FXにおけるピボットについて解説しました。ピボットとは短期トレードで役立つテクニカル指標の一つで、正式には「The Reaction Trend System」と呼ばれます。
もみ合い相場での反転点を捉えるのが特徴であり、エントリーポイントの見極めに使えるでしょう。
記事で紹介した内容を参考にしつつ、FX取引においてピボットを活用できるように取引戦略を立ててみてはいかがでしょうか。